DIYでおしゃれインテリアに!人気スタイリスト・遠藤慎也の自宅公開

テレビや雑誌でスタイリングを手がけつつ、エクスペリアのCMにも出演した話題のインテリアスタイリスト遠藤慎也さん。機能的かつモダンな空間デザインが持ち味の遠藤さんのご自宅には、初心者でも真似できるちょっとした「おしゃれの手口」から、いつかチャレンジしてみたい上級技まで、DIYのテクニックがぎっしりです。そこで初級編、中級編、上級編にカテゴライズし、遠藤慎也さんが自宅で実践するおしゃれアイデアをご紹介します。

公開日 2017.04.02

更新日 2022.01.07

DIYでおしゃれインテリアに!人気スタイリスト・遠藤慎也の自宅公開

初級編

まずは、初心者でもすぐに真似できる初級編。ちょっとした工夫で、住まいは大きく変わります。

1.好みの植物とかっこいい容器を組み合わせる

部屋に入ってまず目に飛び込んできたのがたくさんのグリーン。リビングの25%程度を緑が占めています。

「鉢集めが趣味なんです。かっこいい鉢があったら、すぐに買っちゃいます。それから、その鉢に合った植物を探す、ということもよくあります。一般的なグリーンショップで売っている鉢だと、なかなか好みに合うものがなくて。だからほとんど鉢とグリーンは別の場所で購入していますね」
おしゃれなバケツや麻袋を鉢の代わりにして使用することも。好みの植物と、かっこいい容れ物を組み合わせる。そんなちょっとしたアイデアで、グッとおしゃれなインテリアが誕生します。
また、グリーンの配置にもこだわりがある様子。

「これはDIYっていうより、部屋の飾り方ですけど、グリーンを並べる時にすべてを床に並べるのではなく、脚立やかごを使って、いくつかは高い位置に置くようにしています。また天井から吊りさげることも。そうすることで視線が定まらない、面白い空間が出来上がるんですよ」
これは帽子掛けでしょうか?

「帽子掛けか、洋服掛けか。なにかよくわからないんですけど(笑)、いい雰囲気なので使っています。ちなみにこのドラフラワーは手作りです。というか、作っている過程。窓の方から新しい花で、手前になるほど古くなります。容器ではないですけど、これもある種、好みの植物とかっこいい家具の組み合わせですね」

2.オットマンをソファーテーブルに

リビングの中心でなかなか主張しているテーブル。これ、いわゆるテーブルではありませんよね。
「これは実はソファーとセットのオットマンなんです。普段は、足を載せて使っています。でも、こうして上に天板となるものを載せて、花でも飾れば簡単にテーブルの役割に」
「天板も木の板じゃないところがポイントです。鉄製のトレイなどを載せると雰囲気が出ますよ。あと、その上に大きな容器を置いてドライフラワーを飾ると、おしゃれ度がさらにアップします」

家にあるものを組み合わせるだけで、こんなに個性的で素敵な家具に仕上がるとは。手紙を書いたりパソコンを置いたりするのは不向きだけど、お茶やつまみを置くのにはもってこいです。

3.長過ぎる配線を雰囲気のある小枝で短く

照明と天井の隙間の、こんな細部にもナイスなアイデアが。

「照明の配線が長くて、もともとは括って短くしていたんですよ。で、枝はどこからか拾ってきたもの。特にこうやって使うつもりもなく、形が好みだったので拾っただけです」
「なんとなく枝を触りながら、何かに使えないかな、と考えていたんです。それで適当な紐を巻きつけたりしていじくってるうちに、あ、ライトの長い配線を巻きつけてしまおう、と浮かんで」

落ちている木や石なんかも、アイデアひとつでおしゃれアイテムに早変わり。惹かれる造形や質感のものがあれば、持ち帰って損はないかも。

4.部屋の細部にニュアンスを与える

キッチン脇の冷蔵庫の扉に、面白いマグネットが。これも手作りですか?

「これはある雑誌の企画で作ったものです。デニムパンツのポケットを切って、マグネットに貼るだけ。隙間も作っているので、手紙やレシート、ペンなどをちょっと入れるのに便利ですよ」

大きな白い面が無機質な印象を与える冷蔵庫。そこに、ちょっとした手作りのものが貼ってあるだけで大きく雰囲気が変わります。
この棚の端についているのは、DIYに欠かせない、アレですね。

「これは昔の万力です。形や色、素材感に惹かれて購入しました。これも何に使うかは考えておらず、触っているうちにふと、この辺にあったらどうだろう、と。それで最初は、この万力だけが棚に付いている状態だったのですが、また日を置いてグリーンを見ていた時、ここに引っ掛けたら面白いかなと思い、結果こうなりました」

特に目立っているわけではないけれど、木の棚に、鉄の万力、そしてエアプランツという組み合わせが素敵です。
電気のスイッチカバーも、よく見れば備え付けのものとは違うような。

「これも自分で変えました。元々は白いプラスチック製で、あまり好みではなかったんですよ。家中のスイッチカバーを鉄製に変えることで、空間として全体的に引き締まったというか。冷蔵庫のデニムのポケットや鉄の万力もそうですけど、それぞれが目立たなくてもいいので、家のあちこちに自分の好みのニュアンスを与えると、統一感がアップしますし、暮らしが楽しくなりますよね」

5.部屋のトーンと合わせたカーテンで、生活感はさっくり隠して

ダイニングテーブルの横に、ちょっと気になるスペースが。こちら物置ですか?

「これは洗濯機置場で、もちろん僕も洗濯機を置いています。古い家だから元々は外に置場があって、無理やり中に作ったんじゃないかな。だからダイニングの横という、変わった位置にありまして。これを隠すためのカーテンも自分で取り付けました」
「まず棒を入り口の上部に取り付けまして、そこにリングとクリップのセットを通していきます。あとは丁度いいサイズのカーテンをクリップでとめていくだけ。もし部屋をカラフルな印象にしたいなら、カーテンの色でも遊べると思いますよ」

生活感がありすぎると、おしゃれな雰囲気が台無しに。部屋のトーンに合うカーテンでさっくり隠しましょう。その時、リングとクリップを鉄製にするなど細部にこだわれば、さらなるテイストの統一にも。

中級編

次は、カスタム度合いがさらにアップした中級編。こちらも遠藤さんの“使える”おしゃれアイデアが満載です。

1.不便さの解消には、好みの雰囲気のアイテムを

これは、バスルームとトイレの間にある洗面室。所狭しとおしゃれなグッズが並んでいます。

「この板も自分で取り付けたものです。ここに物が置けないと不便だな。そこから始まり、風合いのある板を取り付けたことで、便利かつ好みの空間が生まれました。僕のDIYの基本は大抵そんな感じ。不便だな、って悩みが先にあって、それを解決させるために何かを作る時に、好みの素材を用いる。そうすることで不便だった場所がどんどん好きな場所に変わっていくんです」
「また板などを取り付ける際は、ディテールも大切です。ちょっとニュアンスある金具を使用すれば、ますますおしゃれ度がアップしますよ」
「これは洗面台の上に取り付けたミラーです。この空間に鏡がないのはかなり不便ですよね。だけど洗面台の上にはすぐに窓があり、普通の鏡を置くことが困難でした。それらの問題点をクリアしてくれたのがこのミラーです。これも、不便が先にあって、それを解決したら結果として好きな感じになった、というパターンです」

確かに、物にもよるけど欲しいアイテムを一から作るのは、初心者にはちょっとハードルが高いかも。それに比べて、不便さの解決を考えながらのカスタムだと、気分も乗りそうです。

2.カスタムの際に、色と質感で統一感を出す

これはバスルームのドアに付けられたフック。タオルや、シワが付きやすい服をちょいとかけるのに便利そうです。
こちらはトイレのドアのタオル掛け。使わない時はこの状態に。
使う時には、こうなります。バスルームのドアに取り付けたフックも、トイレのドアのタオル掛けも、さらに「WC」マークも、光沢ある素材のモノトーン。この統一感もいい雰囲気です。

「ポップなアイテムでも、モノトーンだと空間にうまく溶け込むので使いやすいですよね。重要なのは、どんな空間にしたいかということ。落ち着いた空間にしたいなら、素材の質感やカラーを合わせるとうまく表現できますよ。逆に、素材感やカラーを変えれば、バラエティ豊かな空間になります」

3.すべてを隠さす、あえて出す収納

こちらは遠藤さん宅のキッチンです。よく見るとフライパンや木ヘラなどがたくさんぶら下がっていますね。

「こういう料理道具類って、僕はデザイン的に嫌いじゃないんです。日常的に使うものでもありますし。だから隠して収納するのではなく、見えるようにしながら整理しています」
「この木の棚や、棚の下の金具も自分で取り付けたもの。こういう穴が開いている金具は、フックさえ用意すれば何かをひっ掛けるのに便利です。あと、そもそも何に使うかよく分からない感じも気に入っています(笑)。棚を作るコツは、当たり前ですが事前に何を置くのか想定すること。大小それぞれの物が置けるように配置すると便利ですよ」
オリーブオイル、ワインなどの便類と、コーヒーメーカーや小物類、そういったものがサイズに分けられ、棚に並んでいます。フライパンや鍋などの調理器具同様、こちらも隠さない収納の小技がキラリ。

上級編

いよいよ、一から自分で作り上げる上級者テクニックをご紹介。もちろんおしゃれなセンスと遊び心に溢れています。

1.自作の壁には、自分らしいものをカスタム

リビングルームのソファの奥にある壁、真ん中あたりで色が少し違います。というのも右のクリーム色の壁は、遠藤さんがご自身で取り付けたものなんです。
「この壁の後ろがキッチンで、玄関やリビングから見えすぎるのが気になっていたんです。そこで目隠しのための壁を自分で作りました。まず柱となるつっかえ棒を2本用意し、天井と床にしっかりと固定します。そこに好きな素材の板を取り付けるだけなので、以外と簡単ですよ」
「大きな面積を占め、部屋に強く影響を与える部分ですので、色や材質のセレクトは重要です。僕が選んだのは、小さな穴が沢山空いていて、いろんなものが飾れそうなパンチングボード。飾るものを考えるだけでちょっとワクワクしますよね」
「僕が飾っているのは、古い道具類や、本、草花が多いです。何でも気軽に飾れるのがこの壁のいいところではありますが、やっぱり全体の統一感は気にしていますね」
「ものを置いたり引っ掛けたりする金具にも、統一感が重要。僕は少しくすんだ金色の金具を使っています。こういう細部に同じものを使うと、全体にギュッと引き締まって見えますよね」

キッチンを隠したい。その悩みから生まれた壁全体が表現の場。おしゃれなのはもちろん、気分をガラリと変えるのも、ちょっと遊び心をプラスするのも、なにかと楽そうです。

2.好みの風合いで机&ライトをDIY

こちらは、キッチン横の小さなスペースに作られたダイニングルーム。三枚の板でできたテーブルと、柱に取り付けられたライトが印象的です。
「こちらも自分の手作りです。椅子は前の家で使っていた既製品ですが、テーブルと柱を一から作り、柱にライトを取り付けました」
「最初はやはり、このキッチン横の小さなスペースを上手く使いたいな、という発想から。それで、丁度いい机もないので、自分で作ってしまおうと。足は、この太い鉄製のものが1本だけ。右側は柱に固定してあります」
この板の風合いと、無骨な鉄の足がなんともおしゃれ。下から除くと、足とテーブルの間に別の板が噛まされ強度を高めています。
「柱は同じサイズの角材5本を買ってきて、天井と床で固定しています。真ん中の木の奥側を空洞にして、ライトの配線を通しました」
テーブルの脇にライトのスイッチが。この手作り感もかっこいい。
「テーブルの板は、これも好きな風合いの金具で固定。なくても崩れることはないんですけど、デザイン的にも上面になにかポイントがあったほうがいいかな、と。たまにワインのグラスを引っ掛けたりして、邪魔っちゃ邪魔なんですけどね(笑)」
「ポイントは、テーブルの足が主張しそうだから、柱はそれほど個性的ではない素材を使ったり、でも視線の上にあるライトにはそこそこ個性を持たせたり、そういう感じで全体のバランスを調整しながら作れるところ。椅子などの規制品とのマッチングも面白いです」

なるほど。しかしこのテーブル、柱に固定されているので簡単に動かせず、不便そうにも感じますが。

「まあ、取れないことはないんですけど、普通のテーブルに比べると確かに掃除などに不便かも。でも、さっきのテーブルの上の金具もそうですけど、そんな不便さが手作りの醍醐味っていうか。それも含めて楽しめてしまうのがDIYのいいところなんですよ」

リビング、キッチン、ダイニング、さらに部屋の隅々まで。遠藤さんのおしゃれアイテムが至る箇所に詰まっていました。大抵、最初は不便さの解消から。それを好きな風合いの道具でカスタムしたり、一から作ったり。結果、本当に居心地のいい、自分好みの空間が誕生するんだなと、DIYの基礎の基礎を学習できた一日でした。

PROFILE

遠藤慎也
えんどうしんや/1984年、埼玉県出身。テレビ、雑誌、広告、カタログ、ショップや展示会のディスプレイなど幅広い世界で活躍するインテリアスタイリスト。「LEXUS展示会」「伊勢丹のポップアップショップ」「東京ミッドタウンのウィンドウディスプレイ」などを手がける。

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