ナイフのメンテナンスについて【錆び編】~ Nice knife life. vol.8~

水にさらした状態で刃物を放置しておくと、赤錆が発生してしまいます。炭素鋼はもちろんステンレス鋼でも赤錆びが発生することがあります。今回は、赤錆が発生してしまった時の対処法、予防法について解説します。

公開日 2017.12.04

更新日 2017.12.04

ナイフのメンテナンスについて【錆び編】~ Nice knife life. vol.8~

料理をした後うっかり水をふき取るのを忘れたり、長い間使用していなかったりしたら刃物に赤錆が出ていたという経験をされた方も多いと思います。
特に炭素鋼は、刃が長持ちし研ぎやすい一方、ステンレス鋼に比較し赤錆が発生しやすいものです。
今回は赤錆を除去する方法、予防する方法を解説いたします。

日常の錆取り

ステンレスに炭素鋼「青紙」を挟み込んだ三層構造の It's my knife folding。
刃持ちがよく研ぎやすい特徴を持つ青紙は、昔から大工道具や高級和包丁に使用されプロフェッショナルに愛されている素材です。
ただ水が付着したまま放置すると、下の写真のように青紙の箇所に赤錆が発生するので日々のメンテナンスがとても重要です。
しかし気を付けていても、うっかり放置してしまうこともあると思います。

赤錆の程度によりますが、発生して数日程度の錆でしたら、ご家庭にあるクレンザーやワインのコルク栓を使って手軽に赤錆を落とすことができます。

用意するもの

写真左から
・ 錆びた刃物
・ クレンザー
・ ワインのコルク栓(使い古し)
・ 水
クレンザーを赤錆の発生した箇所に振りかけます。
コルクに水を付けます。
赤錆の発生している箇所をコルクでこすっていきます。
必要に応じてクレンザーを追加します。
徐々に赤さびが浮いてきます。
綺麗になるまでこすったら、水で洗った後、乾いた布でふき取ってください。
日常の錆取りはこの程度で十分です。

ただ腐食の進行具合によって除去しきれない黒ずみなどが残ることがあります。
黒ずみまできれいに除去したい場合は、
耐水サンドペーパーを使用して研磨していきます。

磨きをかける

今回は1200番の耐水サンドペーパーを使用し、黒ずみを取り除いていきます。
まず、耐水サンドペーパーに水を付けます。

※ 腐食の具合が深いようでしたら、この前段階で240番のサンドペーパーで擦って腐食を削り取ってから、400番→800番 の順で研磨傷を取り除いていきます。
黒ズミが消えて綺麗になるまで、青紙の部分(刃先側)を均等に研磨していきます。
水で洗った後、乾いた布で拭き取ります。
赤錆も黒ずみも綺麗になくなりました。
使用後に水をしっかりふき取り、椿油やオリーブオイルなどを薄く塗っておけば、赤錆を予防することができます。

黒錆をつける

錆の発生を抑える方法として、オイルを塗ることに加えて、「黒錆をつける」という方法があります。

錆には赤錆と黒錆という2種類の錆があります。
赤錆は一般的に見られる鉄を腐食させボロボロにしていく性質をもっております。一方、黒錆は鉄の表面にできる酸化膜のことで、表面をこの酸化膜でコーティングすることで、赤錆の発生を抑えることができます。

これから黒錆をつける方法をご紹介します。
ちなみにステンレスには黒錆をつけることができません。炭素鋼のみ有効です。

用意するもの

・ 黒錆加工する刃物
・ お酢 150cc
・ 紅茶 600cc
・ パーツクリーナー (脱脂用)
・ 針金
・ 割りばし
・ 乾いた布
布にパーツクリーナーを吹付け、刃についた油分を拭き取ります。
一般的に脱脂用とされるクリーナー(例えば、シリコンオフなど)であればパーツクリーナーでなくても大丈夫です。
油分が残っていたら黒錆の付着にムラが生じるので、しっかりと脱脂していきます。
600ccの濃いめに入れた紅茶に、150ccのお酢を加えます。
分量は紅茶4に対してお酢1が目安です。
割りばしにくくり付けた針金に引っ掛けて、刃を紅茶酢に1時間ほど漬け込みます。
鋼の部分に小さな気泡が生じるとともに、黒い粒子が液体の中に浮遊し黒く濁っていきます。
酸化膜が形成されている証拠です。
1時間たったら引き上げます。
青紙の部分に黒錆がきれいにのっています。一方、ステンレスに黒錆がついていないのもわかります。
最後に刃先を研いでいきます。
研ぎについては、前回の記事をご参照ください。
完了です!黒錆コーティングの刃も落ち着いた感じでかっこいいです。

暮らしにひと手間。

セラミック包丁など、錆びないしメンテナンスが簡単な道具があるにも関わらず、プロの料理人をはじめ今でも「青鋼」を愛用する人が多いです。
それは、研ぎやすくて刃が長持ちするという特性もさることながら、メンテナンスを通じて道具に愛着が湧き、刃が細くなるまで長く使えるということが愛される理由なのだと思います。

刃物は料理と同じように、ほんのひと手間をかけることで、 使う程に愛着が深まる道具です。

自分で削って作るという過程を通して道具への愛着を持ってほしい。大切にメンテナンスすることで道具を大切にしてほしい。そんな願いにも似た想いをこめて作った「It's my knife」という商品は、簡単にものを捨てる消費社会に対する、私たち「FEDECA 」のアンチテーゼなのです。
そんな思いを多くの皆様に知って頂きたいと思い、私たちは今クラウドファンディングに挑戦しています。

是非、ご支援よろしくお願いします。

Have a knife day !

FEDECA

WRITTEN BY

FEDECA

Japan

明治28年創業、播州三木の老舗金物メーカーが手がける刃物ブランド。 アウトドア、キャンプ、DIY、ステーショナリー、クッキングを軸としたライフスタイルを彩る新しい刃物製品を提案。 ハンドルを削って作る自作ナイフキットIt's my knifeシリーズ、ダマスカス鋼の高級ステーショナリーナイフNagel knifeシリーズを展開中。