ABWとは? フリーアドレスとの違いやメリット、導入方法などを解説
ABWとは、オフィス内外問わず場所に囚われない働き方を推進する新しいワークスタイルもしくはオフィススタイルです。本記事ではABWの基本的な意味や目的、メリット・デメリット、フリーアドレスとの違いなどについてわかりやすく解説します。
公開日 2023.03.17
更新日 2023.03.17
テレワークが社会に広がってから数年が経った今、その良い面も悪い面も理解が深まりつつあるのではないでしょうか。多様な働き方が尊重される現代では、オフィス勤務だけでもテレワークだけでもない柔軟な働き方が求められます。
そこで昨今注目を集めているのが、「ABW」という考え方です。ABWは、オフィスに固定席を設けないフリーアドレスというオフィススタイルとテレワークを組み合わせることで、オフィス内外問わず従業員が自由な場所で働けるようにしようというコンセプトです。本記事では、このABWの基本知識をわかりやすく解説します。
そこで昨今注目を集めているのが、「ABW」という考え方です。ABWは、オフィスに固定席を設けないフリーアドレスというオフィススタイルとテレワークを組み合わせることで、オフィス内外問わず従業員が自由な場所で働けるようにしようというコンセプトです。本記事では、このABWの基本知識をわかりやすく解説します。
ABWとは
ABWとは”Activity Based Working”の略称で、新しい働き方またはオフィススタイルの一種です。直訳すると「アクティビティ(活動)に基づいて働くこと」といった意味合いになり、1990年代にオランダの会社ヴェルデホーエンが提唱したものとされています。
従来のオフィスは、従業員それぞれに決まったデスクが割り当てられており、各従業員はいわば「場所に基づいて」働いていました。しかしABWを採用したオフィスには、特定の仕事や活用シーンに応じたさまざまなスペースが設けられており、従業員は「自分がどのような活動をするかに基づいて」適宜それらの席を選択します。
例えば、集中して仕事をしたい時は静かな席で、通話をしたい時はプライバシーを確保できる電話ブースで、会議をしたい時はミーティングスペースで、カジュアルに会話をしたい時はリラックススペースで……といった仕方です。 さらにABWでは、テレワークを活用して従業員が事業所外で働くことも想定しています。
このように、ABWは場所に縛られず、その都度のニーズに応じて柔軟に働くことを可能にするコンセプトです。
従来のオフィスは、従業員それぞれに決まったデスクが割り当てられており、各従業員はいわば「場所に基づいて」働いていました。しかしABWを採用したオフィスには、特定の仕事や活用シーンに応じたさまざまなスペースが設けられており、従業員は「自分がどのような活動をするかに基づいて」適宜それらの席を選択します。
例えば、集中して仕事をしたい時は静かな席で、通話をしたい時はプライバシーを確保できる電話ブースで、会議をしたい時はミーティングスペースで、カジュアルに会話をしたい時はリラックススペースで……といった仕方です。 さらにABWでは、テレワークを活用して従業員が事業所外で働くことも想定しています。
このように、ABWは場所に縛られず、その都度のニーズに応じて柔軟に働くことを可能にするコンセプトです。
フリーアドレスとの違い
「従業員が固定された座席を持たずに働く」というABWのコンセプトは、フリーアドレスとも共通する点です。ただし、フリーアドレスの場合、自由に仕事をする場所を変えられるとはいっても、「オフィス内で」という制約をまだ引きずっています。それに対して、ABWでは従業員のニーズに応じて会社の外でも働くことを想定しているため、より柔軟な働き方を指向したコンセプトと評価できます。
ABW導入のメリット
ABWを導入することで、次のようなメリットが期待できます。
生産性の向上
ABWでは各従業員が自分に最適だと感じる環境で働くことができるため、生産性の向上が期待できます。どのような環境が仕事に集中するのに適しているかは、人や状況によってさまざまです。ある時は一人で静かな環境で仕事したい場合もあれば、ある時は特定の同僚や上司の隣で、こまめに打ち合わせや確認をしながら作業を進めたい場合もあります。
ABWを導入すれば、その都度変わるニーズへ迅速に対応できます。席を固定しないことで人間関係にも柔軟性が生まれ、オープンなコラボレーションを促進しやすいのもメリットです。
ABWを導入すれば、その都度変わるニーズへ迅速に対応できます。席を固定しないことで人間関係にも柔軟性が生まれ、オープンなコラボレーションを促進しやすいのもメリットです。
コストの削減
ABWの導入によって、コストの削減効果も見込めます。従業員それぞれが専用デスクを持つ場合、企業はすべての従業員分のデスクやチェアなどを揃え、それらを置く固定スペースを用意しなければなりません。そうなると、テレワークを導入した時に、せっかく費やしたコストが無駄になってしまいます。
対して、ABWではあらかじめ一定の従業員がテレワークを行うことも計算に入れた上でレイアウト設計を行うので、限られたオフィスのスペースをより効率的に使用可能です。 テレワークを選択する従業員が多ければ事業所の規模自体を縮小できるので、賃料や光熱費といった月々の固定費が大きく下がることも期待できます。
対して、ABWではあらかじめ一定の従業員がテレワークを行うことも計算に入れた上でレイアウト設計を行うので、限られたオフィスのスペースをより効率的に使用可能です。 テレワークを選択する従業員が多ければ事業所の規模自体を縮小できるので、賃料や光熱費といった月々の固定費が大きく下がることも期待できます。
ワークライフバランスの確保
ワークライフバランスの向上も大きなメリットです。ABWの導入と併せて、テレワークの活用も推進することで、従業員は個々の都合に合わせて最適な働き方を実現できます。例えば、会社と自宅の距離が遠い人や、育児や介護などの必要がある人にとって、在宅勤務は仕事と私生活を両立しやすくなる優れた方法です。
他方で、自宅にワークスペースを設置しにくい人や、仕事とプライベートの境界をはっきり付けたい人にとっては、オフィスで働く選択肢は捨てがたい魅力があります。人によってはテレワークと通常の出勤を適度に組み合わせたいという意見もあるかもしれません。
ABWは、「オフィス/自宅で働かないと駄目」というように白黒つけず、従業員に働く場所について多様な選択肢を与えることを重視するのが特徴です。その結果、従業員は個々の価値観やライフスタイルに合わせてワークライフバランスを確保しやすくなり、従業員エンゲージメントを高めやすくなります。
他方で、自宅にワークスペースを設置しにくい人や、仕事とプライベートの境界をはっきり付けたい人にとっては、オフィスで働く選択肢は捨てがたい魅力があります。人によってはテレワークと通常の出勤を適度に組み合わせたいという意見もあるかもしれません。
ABWは、「オフィス/自宅で働かないと駄目」というように白黒つけず、従業員に働く場所について多様な選択肢を与えることを重視するのが特徴です。その結果、従業員は個々の価値観やライフスタイルに合わせてワークライフバランスを確保しやすくなり、従業員エンゲージメントを高めやすくなります。
人材の定着
ワークライフバランスの改善による従業員満足度の向上は、さらに人材の定着へと繋がります。在宅勤務に対応しているならば、結婚などに伴う転居を理由に従業員が離職する必要もありません。
従業員の離職率が低く、働きやすい環境が整備された職場は、求職者にとっても魅力的です。現在、多くの人々は柔軟な働き方を提供する企業で働きたいと考えているため、ABWを実施していることやその効果を対外的にアピールすることで企業イメージを向上させ、新たな優秀人材の獲得へと繋げられます。
従業員の離職率が低く、働きやすい環境が整備された職場は、求職者にとっても魅力的です。現在、多くの人々は柔軟な働き方を提供する企業で働きたいと考えているため、ABWを実施していることやその効果を対外的にアピールすることで企業イメージを向上させ、新たな優秀人材の獲得へと繋げられます。
ABW導入の注意点
上記のようなメリットがある一方で、ABWを導入する際にはいくつかの注意点ないしはデメリットもあります。導入を成功させるには、以下の点について留意し、あらかじめ対策を練っておくことが重要です。
社内体制の整備が必要となる
ABWを導入することで働き方が今までとは大きく変わるため、これまでのやり方を適用しようとするとさまざまな課題が出てきます。
例えば、従業員がオフィス外も含めたさまざまな場所で働いている状況は、管理職のマネジメント業務を難しくします。ちょっと部下に確認したいことがあっても探し回らないといけなかったり、そもそも今日はオフィスに出勤している日なのか確かめる必要があったりするのは手間です。これは同僚同士であっても同様で、誰がどこで何をしているのか確認するための方法やルールが整備されていないと、コミュニケーションやチームワークに問題を起こす可能性があります。
また、人事評価の方法を変えなければならない可能性がある点にも注意が必要です。人事評価において、従業員の勤務態度などの情意評価を取り入れている企業は多いでしょう。しかし、テレワークをしている従業員がどのような様子で働いているか、上司は直接確認できません。かといって、様子が確認できるオフィス勤務の従業員の評価を優遇するのでは、間接的にオフィス勤務を強制するも同然となるため、ABWを導入した意味がなくなってしまいます。
このような理由から、単にオフィスの物理的環境を変えるだけでなく、ルールや制度面も含めて整備して対策を行うことが重要です。
例えば、従業員がオフィス外も含めたさまざまな場所で働いている状況は、管理職のマネジメント業務を難しくします。ちょっと部下に確認したいことがあっても探し回らないといけなかったり、そもそも今日はオフィスに出勤している日なのか確かめる必要があったりするのは手間です。これは同僚同士であっても同様で、誰がどこで何をしているのか確認するための方法やルールが整備されていないと、コミュニケーションやチームワークに問題を起こす可能性があります。
また、人事評価の方法を変えなければならない可能性がある点にも注意が必要です。人事評価において、従業員の勤務態度などの情意評価を取り入れている企業は多いでしょう。しかし、テレワークをしている従業員がどのような様子で働いているか、上司は直接確認できません。かといって、様子が確認できるオフィス勤務の従業員の評価を優遇するのでは、間接的にオフィス勤務を強制するも同然となるため、ABWを導入した意味がなくなってしまいます。
このような理由から、単にオフィスの物理的環境を変えるだけでなく、ルールや制度面も含めて整備して対策を行うことが重要です。
ABWが浸透しない可能性がある
せっかくABWを導入しても、従業員の間で浸透しない可能性があることも懸念されます。ABWは働く場所や働き方の選択肢を広げるものであり、従業員に強制するものではありません。その結果、変化を嫌う従業員は、固定スペースから動かない従来の働き方から殆ど変わらないことがあります。
特に管理職レベルの従業員がABWに否定的な態度を示していると、そのほかの従業員もそれに追従しなければならない雰囲気になるかもしれません。そのため、ABWを導入する際には、それが従業員のニーズと合致しているか事前に確認したり、ABWの意義をしっかり共有したりする必要があります。
特に管理職レベルの従業員がABWに否定的な態度を示していると、そのほかの従業員もそれに追従しなければならない雰囲気になるかもしれません。そのため、ABWを導入する際には、それが従業員のニーズと合致しているか事前に確認したり、ABWの意義をしっかり共有したりする必要があります。
セキュリティの問題
セキュリティ対策も重要な課題です。テレワークを導入する際は、オフィス外のさまざまな場所から社内のシステムにアクセスすることになるため、従来のセキュリティ対策では不十分なところが出ます。例えば、セキュリティが脆弱な公衆WiFiなどからアクセスする従業員がいたら、情報漏洩リスクの増大は避けられません。
テレワーク環境の情報セキュリティを確保するには、ネットワークやシステム面での対策を行うだけでなく、従業員のリテラシーを高めることも重要です。例えば「人目に付くところで機密情報は扱わない」など、基本的なルールを策定・共有して各従業員に遵守させるようにしましょう。
テレワーク環境の情報セキュリティを確保するには、ネットワークやシステム面での対策を行うだけでなく、従業員のリテラシーを高めることも重要です。例えば「人目に付くところで機密情報は扱わない」など、基本的なルールを策定・共有して各従業員に遵守させるようにしましょう。
ABWの導入方法
最後に、ABWの導入方法を解説します。
目的の明確化
職場に ABW を適切に実装するには、ABW がビジネスにもたらすメリットを理解し、それによって達成したい目標を明らかにしなければなりません。具体的には「生産性の向上」や「自律的な働き方の実現」などが挙げられます。こうした明確な目標を持つことで、ABWの導入自体が目的化してしまうリスクを避けると共に、ABWの実現に向けた計画を効率的に具体化していけます。目的を明確化することは、ABWの意義を従業員に理解させ、その活用を浸透させていく上でも重要です。
現状の確認
ABWは従業員のニーズに対応することを主眼に置いたコンセプトであるため、その計画を立てる際には、当の従業員自身の意見を確認することが重要です。ABWの推進担当者は自分の目で現状のオフィスの問題点を確かめるだけでなく、従業員にヒアリングやアンケートなどを実施して、現状のオフィスで不便を感じている点や、新しいオフィスにほしい要素などを調査しましょう。
体制の見直し
先述のように、ABWを導入すると、従来の体制を維持するのはさまざまな面で困難になります。新しい働き方に適応できるように、就業規則や人事評価の方法などを見直すことが必要です。
具体的には、情意評価が機能しづらくなる分、成果主義的な評価方法に切り替えていくことなどが挙げられます。マネジメントのしにくさが強く気になる場合は、最低でも週に1回の出社を義務づけるなども手です。
また、ABWに活用できるツールを導入したり、情報セキュリティ対策を見直したりすることも重要です。併せて、それらのツールの使い方やABW移行後のルールなどに関して、従業員に共有することも欠かせません。
具体的には、情意評価が機能しづらくなる分、成果主義的な評価方法に切り替えていくことなどが挙げられます。マネジメントのしにくさが強く気になる場合は、最低でも週に1回の出社を義務づけるなども手です。
また、ABWに活用できるツールを導入したり、情報セキュリティ対策を見直したりすることも重要です。併せて、それらのツールの使い方やABW移行後のルールなどに関して、従業員に共有することも欠かせません。
オフィスの整備
オフィスレイアウトの検討や整備も忘れてはいけない作業として挙げられます。冒頭で述べた通り、利用シーンに応じたスペースを設けるのがABWのポイントです。集中して作業ができるスペース、電話やオンライン会議に適したスペース、オフィス内カフェのようなリラックススペースなど、ニーズに応じた場所を適宜整備するようにしましょう。個別のデスクがなくなる分、ロッカーなどの収納を拡大する必要もあるかもしれません。
また、サテライトオフィスやコワーキングスペースなど、メインオフィス以外のワークスペースを利用することも検討の価値があります。これらの場所を利用できるようにすることで、メインオフィスと自宅以外にもさらに働く場所の選択肢を広げることが可能です。
ABWを導入することで、従業員はオフィス内でもオフィス外でも、場所に縛られずに働けるようになります。ニューノーマル時代の新しいワークスタイル・オフィススタイルとして、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
また、サテライトオフィスやコワーキングスペースなど、メインオフィス以外のワークスペースを利用することも検討の価値があります。これらの場所を利用できるようにすることで、メインオフィスと自宅以外にもさらに働く場所の選択肢を広げることが可能です。
ABWを導入することで、従業員はオフィス内でもオフィス外でも、場所に縛られずに働けるようになります。ニューノーマル時代の新しいワークスタイル・オフィススタイルとして、ぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか。
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