JOURNAL CRAFTSMAN SHIP | HIDEYUKI MATSUDA ~前編~

ORGAN CRAFTでは、住宅やオフィス、店舗のリノベーションやプロデュースだけではなく、家具や店舗什器の開発、イベント会場でのエリアディレクション設計など様々なものを作ることを主軸に展開している工務店です。 ORGAN CRAFTのweb内で連載しているJOURNALという色々な業種の作り手さんと対談する記事を紹介していきます。

公開日 2019.02.05

更新日 2019.03.01

JOURNAL CRAFTSMAN SHIP | HIDEYUKI MATSUDA ~前編~

ORGAN CRAFTでは、Web内にてJOURNALという様々な業界の作り手さんと"CRAFTSMANSHIP"をテーマにディレクターである渡會と対談するコンテンツを展開しています。

これまでフラワーコーディネーター、アートディレクター、醤油の醸造家、落語家など多岐に及ぶ方と対談をさせていただきました。

今回は鉄を扱うアーティスト、松田英之さん。
大阪市役所にも飾られた大阪万博2025誘致PRオブジェを筆頭に様々な展示物を手掛けている松田さんのCRAFTSMANSHIPとは?
是非ご覧いただければと思います。

鉄で出来たレタードを見かけてもう一度溶接の世界へ

全国でも珍しい“鉄”を操るアーティストがいると聞いて大阪へ。GRAND COBRAのネーミングでアートオブジェクトを制作したり、空間デザインを手がけたりと、大阪のみならず全国でも活躍する松田英之さん。ワイヤーワークで一つの造形物へと昇華させる手法を得意とし、無機質なメタルに命を吹き込んだオブジェクトはどこか温もりを感じさせます。GRAND COBRAの始動から制作に対するインスピレーションまで、松田さんのアーティスト魂をお聞きしました。
渡會:今まで様々なアーティストさんとお話する機会がありましたが、鉄を取り扱う方は初めてでとても興味深いです。今回はよろしくお願いします。

松田:はるばる東京からお越しいただいてありがとうございます。こちらこそよろしくお願いします。

渡會:まず屋号に命名されたGRAND COBRAの意味を教えてください。

松田:話せばめっちゃ短いんですよ(笑)。実は大のプロレス好きで、尊敬するアントニオ猪木の引退試合でフィニッシュしたのがグランドコブラツイストって技で。よく意味を聞かれるのですが、プロレスを知らない人には「・・・」ってよくなりますね。ストレートなネーミングなんで覚えやすくて良いかなと。
渡會:初期衝動って大切ですもんね。アントニオ猪木が引退したときに独立されたんですか?

松田:引退して少し経ったくらいですかね。高校と専門学校で土木の勉強をしていて、そのまま建築屋に就職したんです。広島と岡山の県境のような僻地に飛ばされ、毎日のようにトンネルを掘っていました。プレハブのタコ部屋に押し込まれ、四畳半の一間で2人で生活していたんですよ。当時は専門卒で若かったんで、やっぱり遊びたいじゃないですか。都会に戻りたいと思って辞め、先輩が溶接の仕事をしてたのでそこでお世話になることに。電車のレールをはじめとするインフラの溶接をしていたんですが、そこもキツくて。朝早くに家を出て夕方に帰宅し、そのまま夜中に出勤して朝に帰り、仮眠してまた翌朝には出勤と……。それが永遠に続くんですよ。辞めてちょっと外の世界を見ようとバックパッカーをしました。帰国したときにショップのサインかなにかで、鉄で出来たレタードを見かけて。「こんなん出来るんちゃうかな」と思って、もう一度、溶接の世界に戻りましたね。

GRAND COBRAの始まり

渡會:そこから本格的な修行に入るんですか?

松田:3年くらい溶接の会社で働こうと入社したんですが、その当時は空前のリストラブームで。その波にきっちりと乗せてもらい(笑)、1年で退職することになったんです。辞めるのを前提にしていたので道具はすべて揃っていたのですが、活動する場所がなかったんです。そんな時に友人が声を掛けてくれて、現在のアトリエを借りることができました。

渡會:それがGRAND COBRAのスタートですね。

松田:ツテもなく勢い任せのスタートでしたね。アトリエを維持しながら何とか頑張らなアカンと続けていくうちに、家具や照明といった仕事の依頼がくるようになり。5年前くらいから軌道に乗ってきましたね。絵を描いたり、映像を撮ったりする人はたくさんいるじゃないですか? でも鉄を扱うアーティストは珍しいし、逆にストリートからそんな人間が生まれても「面白いんちゃう?」ってノリでやってきましたね。

ストリート出身だからこそ生まれる作品

渡會:最近ではどのようなお仕事をされているんですか?

松田:ここ最近ではやっぱり大阪市役所の前に設置されているオブジェですね。2025年に開催される国際万博会を大阪に誘致するためのプロジェクトで、“打ち破っていく”をコンセプトに拳をモチーフにしたオブジェをデザインしました。実は裏テーマがあって、青春時代によく聴いていたHIP HOPのカルチャーを取り入れたんです。よくLLクールJがゴールドの大きなリングを着けていたじゃないですか。そのオマージュで拳の前に「2025」のフレーズをゴールドで描いてもらいました。僕らは大学で真摯に美術を学んだわけじゃないから、ストリート的な手法でしかアプローチできないんです。影響を受けたものをフィードバックすることで、「これってオールドスクールなんちゃう?」って分かる人には分かるデザインが面白いんじゃないかなと。
渡會:実際に大阪市役所まで見に行ったのですが圧巻でした。

松田:ありがとうございます。大きなプロジェクトだけに制約が多かったんですが、とても楽しく仕事させてもらいました。あとはグラフティライターのZENONE君とタッグを組むことが多いですね。ホテルのエントランスなどに設置するオブジェをよく2人で作っています。この前は京都のホテルを手がけたんですが、枯山水に見立ててZENONE君がグラフティを作ってきて、その手前に僕がテーブルやライトを設置して。それがレイヤーになって外観から光を灯すんですよ。外国人の方にはとても受けましたね。ただ、納期は守りますけど、直前までどのようなものが上がってくるのかが分からないので、ホテルと僕らの間に入っている方には不安にさせますが。

渡會:僕はその間に入っているほうなのでお察しします(笑)。ZENONEさんとのお付き合いは長いんですか。

松田:10年くらい前ですかね。元々同じ場所で遊んではいたんですが、お互い何をしているか分からなくて。少しずつどんな人かを知るじゃないですか。そのタイミングで一緒に個展を行ったのがきっかけで、よく仕事をするようになりましたね。付き合いが長いし、お互いの作風も熟知しているからか、いつも打ち合わせは数回程度。しかしながら、最後にはビシッと決めてクライアントに納品していますね。

後半は松田さんが考える鉄の魅力、自身のクラフトマンシップについてお聞きしました。


TEXT:Shohei Kuroda
Photo:Takeshi Uematsu(VELBED.)

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内装を創ることは、そこに住む人のドラマを感じること。そして創造すること。
職人の手によって 生まれ変わるその部屋は、新たなストーリーを作り出す。
リノベーションも時代と共に、多種多様になり、時を経て老朽化していく部屋を原状回復が
ゴールではなく、魅力的に「磨き上げること」で送り出したい。
一部屋、一部屋、丁寧に磨きあげる。また、そこに住む、新たな物語を想像する。
魅力的な部屋は時を超え、そこに住む人と共に輝ける時間を再生する。
我々は Interior craftman ship を心にもつ工務店です。

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