ガス、電気、水道もないアフリカの奥地の村で子供達がDIYで作ったもの。

公開日 2016.10.16

更新日 2022.01.07

ガス、電気、水道もないアフリカの奥地の村で子供達がDIYで作ったもの。

 アフリカのザンビアにあるエンフエという地方に行く機会があった。エチオピア航空で成田から香港を経由し、エチオピアでストップオーバー、20時間以上かけてザンビアの首都であるルサカにたどり着き、さらにルサカから飛行機で2時間半かかる場所だ。

 

 エンフエはまだまだ貧しい地域で電気、ガス、水道はまだ通っていない奥地の村だ。昔からの自然が残るエンフエには、サウスルワングワ国立公園という動物の保護地区があり、シマウマや象、カバやキリンなどたくさんの動物が暮らしている。朝、ホテルの部屋を出ると、敷地の中をサルが走り回り、キリンや象がゆったりとした足取りで通り過ぎていく。ときどき、ライオンがホテル内に入り込んでしまうこともあるらしい。

 

 

 象やシマウマが人間社会とは関係のない大自然の中で、その生命を謳歌しているところを見ると心から感動せずにいられない。まだこの地球上にこんなに美しい光景が残っているんだ、と、自然の素晴らしさに感謝したくなる。

 


 そんなザンビアの地方、エンフエの小学校に訪問することができた。

 

シャイで奥ゆかしいザンビア人の小学生のクラスにお邪魔すると、黙ってジッとこちらを伺う子供達。緊張のためか、みんな硬直しているようだ。そこで、「みんな将来何になりたい?夢は?」と聞くと、黙っていた子供達が一斉に目を輝かしながら手をあげ、

 

 「私は看護婦になりたい!」
 「僕はパイロット!」
 「弁護士!」

 

 と早く言わせてくれとばかりに前のめりになりながら自分の夢や目標を教えてくれた。その純粋なパワーに胸がいっぱいになる。子供が未来の自分を想像することは凄い大切なことだと気づかされた。
 

 

一方でそんな夢を持てない子供達もいる。貧しくて学校にいけない子達だ。この学校では1学期に1度、学費を払わないといけない。1学期の学費はザンビアのお金で25クワッチャ、日本円で約250円。その250円さえ払えない家庭もあるらしい。

 

 教育を受けなければ夢を見ること以前に、そのような職業があることも知らず、想像することもできない。良い仕事につくこともできないだろう。良い仕事につかなければ、貧しさから抜け出すことはできない。子供の教育がどの国でも大事だということを思い知らされる。

 

 

 しかし、そんな学校に通う子供も通えない子供も大好きなスポーツがある。
 
 サッカーだ。


 ボールが一つあれば、どこでも出来るサッカー。しかし、貧しい村ではボールを購入することはできない。そこで彼らはボールをDIYしていた。それが、これ!(ピントがずれていて申し訳ない)

 

 

 買い物の時に渡されるビニール袋を集めて紐で縛ったもの。大好きなサッカーをするため、ボールがないなら自分たちで作ってしまうDIY精神がアフリカの奥地の村にも存在した。いや、むしろガスも電気も水道も通っていない、物を買うにも売っていないような村だからこそ、自分たちの周りにあるもので作り出すことは寧ろ当たり前なのかもしれない。

 

 こんなボールでも、彼らはリフティングまで披露してくれた。しっかり転がるし、みんなこのボールでサッカーを楽しんでいた。ボール以外に他の道具は必要ないところもサッカーが世界中で愛される理由の一つなのだと感じる。

 

 いつかエンフェ村から有名なサッカー選手が産まれてほしい。その時にはみんなの夢は「サッカー選手!」になるに違いない。

 

プロファイル:村越慎司

メディアプロデューサー、随筆家、起業家。 
個人や企業、アーティストなどのメディアでの『発信』をプロデュースしている。また、世界各地を放浪しながら、旅で感じたことを写真、映像、文章などで表現している。イギリスのMTVのビデオコンペティションで3位入賞。SiggraphのVJ Battleで優勝。DJ Magの世界VJランキングで11位になっている。Techlosionで開発したアプリケーションが優秀賞、及びNTTオープンラボ賞を受賞。インドネシアで行われたStartUpAsiaで優勝。

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