【空き家の明日Vol.4】クリエイションを刺激するシンプル&機能的なアトリエ

DIYと言う視点から日本の空き家問題について考える【空き家の明日】。今回は千葉県松戸市のまちづくりプロジェクトMAD Cityで展開している「いろどりマンション」を訪れ、ガラスギルダーとして活躍する山浦紘史さんの住居兼アトリエをピックアップ。地域の靴屋さんの看板を担当するなどMAD Cityのつながりでのお仕事もされている山浦さんに、DIYのこと、MAD Cityでの暮らしについて伺いました。

公開日 2019.01.16

更新日 2019.01.16

【空き家の明日Vol.4】クリエイションを刺激するシンプル&機能的なアトリエ

今回の「空き家の明日」では、千葉県松戸市でクリエイティブな自治体をつくるという取り組みをしているプロジェクト、MAD Cityが展開している「いろどりマンション」を取材。原状復帰が必要なくDIYし放題のこの物件には、クリエイティブな人々が集まり、思い思いに部屋を作り上げています。そのお部屋のひとつに暮らすのが、ガラスギルディングで看板制作などを行っている『Shade Sign』の山浦紘史さん。作業場としての要素が強い部屋をどのように作っていったのか、またMAD Cityでの暮らし、ご自身の制作にかける思いなどをお聞きしました。

そもそも空き家の定義とは?

国土交通省では1年以上住んでいない、または使われていない家を「空き家」と定義しています。 その判断基準として、人の出入りの有無や、電気、ガス、水道の使用状況ないしそれらが使用可能な状態にあるか、物件の登記記録や所有者の住民票の内容、物件が適切に管理されているか、所有者の利用実績などが挙げられています。
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この物件を選んだ理由は?

以前にMAD Cityの記事を読んだことがきっかけでここのことを知り、汚してもいいということが魅力で引っ越してきました。作品を作っているとどうしても、部屋が汚れますし、退去するときに原状復帰をしなければいけないというのが、ネックで。ここに入居したことで、できることが格段に増えました。何よりも起きてから寝る直前まで、制作に時間を使えることが最高ですね。仕事場と生活環境を分けたいという人も多いですが、僕の場合は同じ環境に全てを収めたいタイプだったので、より仕事に集中できるようになったと思います。

このお部屋のコンセプトは?

特にコンセプトから部屋を作りこんでいるというわけではないですが、雰囲気でいったら海外風ウェアハウスという感じでしょうか。最初は色々やってみたいことがありましたが、部屋の中をバラしていく作業が結構大変で、結局手をつけられていないんですよね。床もどうせ汚れてしまうので、コンクリートむき出しの状態のままで、土足のスタイルにして。とはいえ僕は裸足で歩いてますけど。自分の作業のしやすさを考慮した造りになっています。
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広々とした空間で、作業に打ち込める時間が幸せだと語る山浦さん。

どのように作業を進めたんですか?

MAD Cityがこの部屋で解体のワークショップを行った関係で、もともと作業スペースには壁がなかったんですが、床板は自分でとって、スケルトンにして。
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もともとは純和風のマンション。

居住スペースのほうにはペンキを塗ったり、入り口の壁にペインティングをしたりしましたが、途中で終わってしまって。でも今も暮らしながら気になるところがあったりすれば、月に一回くらいは模様替えしていますね。

家具などもすべてDIYされているんですか?

はい。作業スペースにある机や棚などはすべて自分で作りました。僕はもともと1年に一回くらいは引っ越ししていたので、家具を持っていないんです。移動しやすいように、引っ越す先々でDIYするのが、自分のスタイルになっていますね。バラしやすさも考慮して、簡易的な方法で作るようにしています。
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【空き家の明日Vol.4】クリエイションを刺激するシンプル&機能的なアトリエ

作業途中と現在の様子。あまり作り込まず、作業しづらいときにさっと模様替えをするそう。

文字をデザインするガラスギルディングに魅せられて

山浦さんのお仕事、ガラスギルディングでの看板制作は、どういったきっかけで始めたんですか?

僕はもともと、絵を描くことが好きだったので、ファッションデザイナーになるためにイギリスで勉強していました。その後、ガラスギルディングに出会って。芸大で勉強中に自分の趣味でガラスに絵を描くことをやっていたのと、文字を描くことに興味があったので、これだと思い、その道に進むことになりました。
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山浦さんが実際に作った看板の一部。印刷したものにはない美しさと迫力がある。

ガラスギルディングというのは、どういうものなんでしょうか?

ガラスに彫刻を施して、金箔で装飾するスタイルのことをいいます。日本ではあまりメジャーではないですが、ヨーロッパでは古くは宮殿の装飾に使われていたり、今でもバーサインなどに使われていますね。この手法を日本でも広げていければと思い、活動しています。
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下書きもなく筆で文字を書いていく。このデザイン技術がガラスギルディングにも活かされている。

MAD Cityでつながる縁

松戸の靴磨きショップ、「Shoe shine labo. CREO」さんの看板制作を担当されたとお聞きしましたが、それはどういったいきさつで?

MAD Cityさんから直接ご紹介いただき制作することになりました。個人のお店はそれぞれ趣が全く異なるので、一からデザインし制作することができる僕のスタイルととても相性がよく、楽しい仕事でした。
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山浦さんが制作した看板。

MAD Cityに住み始めてよかったこと、クリエイターが近くに住んでいてよかったことはありますか?

住人同士の飲み会があったり、共同の作業部屋があるので、アーティスト同士の交流が盛んです。僕は今年から事業を始めたんですが、同じように始めたばかりの人や、これから始める予定の人が何人かいるので、そういった人たちとの交流はとても参考になります。あとはさまざまな分野の方が入居されているので、自分は全く知らなかったことを知ることができたり、わからないことにアドバイスをもらえることは、フリーの身にとってはありがたいことですね。
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工具や廃材の保管もできる共同の作業部屋。ここで交流が生まれることも多いのだとか。

今後の目標を教えてください。

今、日本の看板はとにかく目立つことが優先されている気がします。季節によってお店のメニューは変わるのに、それを外にうまく伝えられていない看板が多いとも思っていて。たまに新メニューとか書いてあるところもありますけど、それをもっときれいに、専門的に装飾できるのが、ガラスギルダーなんです。僕の思い描くいい看板というのは、小さくて謙虚だけど強い、そして街になじむようなものです。こういった看板を一つでも多く自分の手で作り、日本に広げていけたらいいなと考えています。
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