暦で「寒の入り」と言われている1月上旬から、二十四節気の24番目に当たる「大寒」と言われる立春前日ころまで。この時期が、もっとも味噌づくりの仕込みに適していると言われています。寒い時期に仕込んで、暖かな季節、暑さ厳しい夏を越え、また寒さが厳しくなるころ、大豆は発酵、熟成し、おいしいお味噌になっていきます。今回は、神戸・元町にある食のセレクトショップ「ネイバーフード」の安藤美保さんに味噌づくりを教えていただきました!
自分の手を使うことで自分だけの味のお味噌ができるんですよ!
最近、世間でも注目されている麹菌。麹は、日本酒、酢、醤油、甘酒、漬け物など発酵食品を製造する時に用いられるほか、近頃は塩麹を使用した料理がすっかりおなじみとなりました。その麹菌が生きた状態でおなかに届く食品が手作りのお味噌。
麹菌が作りだす酵素は、体内でさまざまな働きをしてくれ、老化防止、毒素分解、消化促進などに効果的と言われています。1日1杯の味噌汁を飲めば病気知らずと言われている味噌を7年前から手作りされている安藤美保さん。「手作り味噌は、処理をして、発酵を止めてしまった市販の味噌とは異なる味わい。寒い季節から暑い夏を越え、時間をかけて、じんわりゆっくり発酵させていく味噌は『麹菌が生きているな』と感じられる発酵食品。
素手で豆や麹を混ぜ合わせることで、自分の手が持つ常在菌も発酵を手助けしてくれるんですよ。それぞれにみなさんが持つ常在菌が違っているので、出来るお味噌の色や味も微妙に違っていておもしろいんですよ」と安藤さん。仕込みを終えたあとは、「放っておけば勝手にお味噌になってくれます。少々のカビは気にしないで」と安藤さん。約1年後、自分で作ったお味噌で作る味噌汁をはじめとした、料理を想像しながら、仕込むひとときも楽しい!常備食材のお味噌を作る! これからの暮らしがますます豊かになりそうな気がします。
教えてもらったのはこの方!
安藤美保さん
元町にある食のセレクトショップ「ネイバーフード」を御主人安藤博文さんと切り盛り。また、すぐ近くにあるカフェ&ベーカリー「マルメロ」も経営。こちらでは、二十四節気に基づいた、旬の食材を使った料理や天然酵母のパンを楽しめます。調理師免許やソムリエールの資格も持ち、フードコーディネーターとしても活躍。
お味噌のつくり方
■材料
大豆(乾燥)500g、自然塩300g、生糀1kg、とうがらし1本
■手順
1 前日。大豆をしっかり洗って、豆の3倍ほどの水に浸けておく(約12〜18時間)
2 使用する道具はアルコール消毒しておく(熱湯消毒でもOK)
3 大きめの鍋に大豆と大豆の1.5倍くらいの水を入れ、大豆が柔らかくなるまで4時間くらいを目安に茹でる(最初に沸騰してきたところで大量の灰汁が出るので、この灰汁は取り除く)。大豆が水面から出ないよう、水が減ったら継ぎ足す。茹で上がったらザルで漉し、残った煮汁は残しておく。
●POINT
煮汁は少し小さな器に取り、冷ましておきます。
4 ボウルに塩と糀を入れ、素手でざっくり混ぜ合わせる(塩切糀)。塩のかたまりを見つけたら、その都度潰します。
5 茹で上がった大豆をマッシャーで潰す。素手でもOK。少しくらい粒が粗めなものが残っていても可。
6 塩切麹と潰した大豆を手でしっかり混ぜ合わせる。水分が足りなくて混ざりにくい場合は、大豆の煮汁を少し加えて調整する。(水分入れ過ぎないように注意!出来上がりの味噌は、しっとりするので、最初は少ないくらいのほうがよい)。
7 混ぜ合わさった(STEP4)をソフトボールくらいの大きさに丸める。この時、生地の中の空気を抜くようにしっかり力を入れて丸める。
8 用意した容器に(STEP5)を入れ、握りこぶしで潰し押さえながら、しっかり詰めていく。表面はでこぼこのないようになめらかに、容器に接している部分もきれいに指の背で押さえていく。
●POINT
2個ずつくらい入れながら、握りこぶしで潰し押さえていきます!
●POINT
次は3個入れて同じように…。
●POINT
器と生地の境目は指の背でしっかし隙間ないように押さえて!
9 容器のまわりをアルコールできれいに拭き、生地の表面をなめらかにし、縁をきれいに押さえ、軽く塩(分量外)をふってお好みで唐辛子をのせ、ラップをぴったりと貼り付ければ、仕込みは完成!
●POINT
蓋にいつ仕込んだかが分かるように年月日を書いておくと、分かりやすい!
●POINT
蓋の上からもしっかりラップを!
10 仕込んだ味噌を、家の中の温度変化の少ない、できるだけ温度の低い場所に置く。熟成中にカビが出てきたら、カビのついた部分をスプーンなどで取り除き、作り方の(7)の作業をして元に戻す。
味噌としての完成は約1年後。生地の色が茶色になり、味噌のよい香りがしてくると食べごろです。
これが約1年前に仕込んだお味噌。発酵と熟成で色も濃くなっています。香りもしっかりお味噌!
カビが生えたら、スプーンでカビの部分を取って、またラップを!お味噌を仕込む器は、蓋がついていて縦長の器ならOK。空気に触れる面積が少ない方がいいので、なるべく表面積が狭いものを選んで。
NEIGHBOR FOODネイバーフード
神戸市中央区元町通1-12-6
TEL:078-381-6727
11:00~20:00(日・祝日は~18:00)月・火曜休み Pなし
神戸・元町にある自然派ワインも充実のワインショップ「ジェロボアム」の2号店として昨年夏オープンした「ネイバーフード」は、今神戸でもっとも注目のショップです。
「Neighbor」とは「隣の、身近な…」という意味。「豊かな食を身近に…」と思いを込めて1号店の向かいに開店しました。ポートランドをイメージした店内には、オリーブオイル、バルサミコ酢、塩や米、野菜など、国内外からセレクトした食材が勢揃い。どれもこれもオーガニック、無農薬など作り手のこだわりがあります。これらを使用したデリやワインは店内のワンコーナーに設けられたカウンターでテイスティングも可能。
店主安藤博文さんと奥様で、姉妹店の体にうれしい食事やパンを提案する「マルメロ」も運営する美保さんが、毎日の暮らしをさらに豊かに彩る食を提案。ショップの2階では、味噌づくりレッスンをはじめ、さまざまな料理教室も開催しています。
篠山や淡路島の農家さんから直接届く無農薬の旬野菜も!小さなカウンターでは、2~3種類のワインのテースティング(¥400)や、デリの盛り合わせ(¥500)、チーズの盛り合わせ(¥500)などが楽しめる。オリーブオイルのテイスティングも可能です。粒マスタードやハチミツ、ジュースなどビンものもいろいろ。受け取る人のライフスタイルを考えたギフトも提案してくれます。
written by いなだみほ
WRITTEN BY
Japan
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