オリジナルのレザーナイフシースを作る~ Nice knife life. vol.9~

刃が薄く鋭利なIt's my knifeは革の裁断にも重宝するんです。今回は、It's my knife を使ってレザーシース作りに挑戦しました。型紙もダウンロードできますので、皆さん是非挑戦してみてください!

公開日 2017.12.12

更新日 2017.12.12

オリジナルのレザーナイフシースを作る~ Nice knife life. vol.9~

革の裁断にも重宝する It's my knife

刃が1.5㎜と薄く、刃付けも一般のナイフや切り出し小刀に比べて鋭利な角度に仕上げているIt's my knifeは、革の裁断にも重宝します。
そのことを皆さんに知ってほしくて、今回はIt's my knifeを使って、その専用レザーシース作りに挑戦しました!

シンプルな構造のシースなので、道具を用意し、手順さえ守れば初心者の方でも製作することができます。

皆さんも、是非挑戦してみてください!

今回使用した道具

【上段左から】
・ ロウ引き糸(ポリエステル製)
・ トコノール(仕上げ剤:革の床面やコバに塗布することで、毛羽立ちを抑えてツヤを出す薬剤)
・ ヘラ (接着剤、トコノールの塗布に使用)

【下段左から】
・ ゴム板(菱目打ちで革に穴をあける際に使用)
・ 縫い針
・ ディバイダー(縫い穴を空ける場所のガイドラインを引く)
・ ポンチ
・ 2本菱目打ち
・ 目打ち(型紙を革に写したり、革に跡をつける際に使用。縫い穴の調整にも使える)
・ へり落とし(革の切断部分の角を落とす道具)
・ It's my knife (革の切断に使用)
・ 木槌(菱目打ちやポンチで穴を空ける際に、木槌で叩いて穴を空ける)

【その他】
・ 革用接着剤
・ 革
・ ライター
・ パラコード
・ 型紙
・ 事務用クリップ
・ カッターマット

型紙を写す

下記サイトにアップしている型紙をダウンロードして、印刷します。
印刷したら等倍でしっかり印刷されているかを確認するために、下部のガイドを定規で測り、100㎜になっていることをご確認ください。
印刷し、型紙から本体・スペーサーの部分を切り取ったら、
目打ちで革の銀面(表面側:スベスベしている方)に型紙の輪郭を描きうつします。

革を裁断する

型紙で輪郭を写したら、ナイフで切り取っていきます。
It's my knifeは刃先がとても鋭角になっているので、サクサク革を切断することができます。
慎重に切り取っていきます。

床面を磨く

材料を切断したら、トコノールを使って床面(毛羽立っている方)の毛羽立ちを抑えていきます。
まずトコノールを指にとり、床面全体に塗っていきます。
このとき、はみ出たトコノールが銀面に付着しないように気を付けてください。
ヘラを使って、トコノールを全体に塗り伸ばします。

スペーサーを接着する

ナイフを挿入する際、刃から縫い糸を保護するためスペーサーを一枚挟みます。

菱目打ちをする前に、あらかじめスペーサーを本体に接着しておきます。
スペーサー側に接着剤を塗布します。
シース本体の背中側に、スペーサーを貼り合わせます。
乾くまでクリップで固定します。

ガイドラインを引く

手縫いで作る場合、糸を通す穴をあらかじめあけてから縫い始めます。綺麗で揃った縫い目にするために、縫い線にガイドラインを引き、その上に縫い穴を空けていきます。

まず、ディバイダーの幅を型紙に記載の間隔に調節します。
そして、シース表側にだけ、ガイドラインを引きます(型紙をご参照ください)。

ディバイダーの片方の刃をコバの外に当て、コバに沿わせて平行にガイドラインを引いていきます。

縫い穴を空ける

縫い線のガイドラインを引いたところに、糸を通す穴を菱目打ちであけます。
菱形の刃の菱目打ちで穴を空けることで、縫い目の糸が斜めになる、手縫い独自の風合いが出ます。
スペーサーも含め、3枚の革を一気に穴を空けることは大変なので、シース表側から穴を空けていきます。

端は目打ちを一目落としてから、菱目打ちの頭を木槌でたたいて穴を空けていきます。
先につけた跡に菱目打ちを一目かけて次の穴を空けます。こうすることで等間隔に穴を空けることができます。
穴を空け終わったら、重ね合わせ、位置を決めてクリップで固定します。
固定しながらスペーサー側に穴位置の印をつけていきます。
スペーサー側に印がついたら、印に合わせて穴を空けていきます。
2枚の革が重ねて穴を空けると下の革の穴が小さくなりがちです。
針が通りにくくなるので、印の箇所に菱目打ちで穴を貫通させていきます。
貼り合わせる前に、シースの口の箇所をだけヘリ落としをしておきます。そこは貼り合わせた後だとヘリを落としにくくなるためです。
残りの箇所は最後にヘリ落としをします。
ヘリを落としたら接着剤で貼り合わせます。
穴位置がずれないように、慎重に位置合わせします。
位置合わせができたらクリップで固定します。

平縫いをする

ここから縫製作業に入ります。

糸は縫う箇所の5~6倍の長さで切ります。
そして糸を針穴に通します。
糸の端から7~8cmのところに、糸の中心を針が通るように針を刺します。
針穴に通している糸と、針に刺した糸を引っ張ると写真のようになります。
このような手順で、糸の両端に針を付けます。
シースの先端部の穴に糸を通して、左右均等の長さに揃えます。
シース表側にある針から隣の縫い穴に通します。
必ず表側から通すことがポイント。
縫い目を均一にするために、同じテンションで糸を引っ張ることが重要です。
裏側を手前に向けて、縫い進める進行方向に対して表側から通した糸の前に針を通す。
これを繰り返し最後まで縫い進めます。
最後の穴まで縫い終えたら、表側の針から1目戻します。
続いて裏側の針も1目戻します。この端から2番目の穴には糸が4本通ることになるので、目打ちで穴を広げるといいです。
再び表側に返し、もう一針戻して穴を通します。
裏に返すとこのような状態になっています。
裏側に2本出た糸を、3㎜程度の長さになるようにハサミで切ります。
ライターの炎で残した糸端を炙り、溶かしてライターの底を使って革に押し当て接着させます。
炙りすぎにご注意ください。
2~3秒程度炙れば溶けます。炙りすぎると、下の写真のようにこげてしまうので、くれぐれもご注意ください。

コバを磨く

コバの表面をそろえるために、ナイフでコバを切りそろえます。
ナイフである程度段差を整えたら、240番のサンドペーパーで整えていきます。
先ほどヘリをすでに落としているシースの口以外の箇所の、ヘリ落としをしていきます。
コバに水を均一に塗布していきます。
こうすることでトコノールが浸透しやすくなり、磨きやすくなります。
トコノールを指にとり、薄くまんべんなくコバに塗布します。銀面にトコノールが付着しないように注意します。
トコノールが乾くまで5分程度置きます。
その間、パラコードを通す穴をポンチで空けておきます。
最後に、ヘリ落としのハンドル部分でコバを艶が出るまで磨いていきます。

完成

パラコードでナイフとシースをつなげることができます。
ナイフを首からかけることができたり、下の写真のようにナイフに巻き付けることで、例えばカバンの中でシースからナイフが勝手に抜けないようになります。

DIYは挑戦することが大切。

『It's my knife』という商品名。
すでにお気づきの方も多いと思いますが、アメリカの有名なロックバンドBON JOVIの 『It's my life』をオマージュして名づけられたものです。

タイトルの「It's my life」はそのまま和訳すると「これが俺の人生だ」。
歌詞の和訳を見ていくと、「信念を持って何かに挑戦し続けている人」を応援する曲になっているのが分かります。

失敗したっていい、挑戦することが大事なんだ!

私たちはそんな思いを「It's my knife 」に込めています。

今回のレザークラフトも、専門外の私たちが挑戦することで、多くの皆様に親近感をもってチャレンジいただけるのではないかと思い挑戦してみました。なので失敗も隠さずご紹介しております。

でも、完璧でなくても綺麗にできなくても自分で作ったものって、とても愛着が湧くものです。
失敗したっていい、挑戦することが大事なんだ!

目下挑戦中のクラウドファンディングも終了まであと少し。

FEDECAはこれからも、いろいろなことに挑戦してまいります。


Have a knife day !

FEDECA

WRITTEN BY

FEDECA

Japan

明治28年創業、播州三木の老舗金物メーカーが手がける刃物ブランド。 アウトドア、キャンプ、DIY、ステーショナリー、クッキングを軸としたライフスタイルを彩る新しい刃物製品を提案。 ハンドルを削って作る自作ナイフキットIt's my knifeシリーズ、ダマスカス鋼の高級ステーショナリーナイフNagel knifeシリーズを展開中。