ACME Furniture、生まれ変わるヴィンテージプロダクト/CIRCLE of DIY Vol.08
DIYを自らの形で発信していく人々にスポットライトを当てる連載企画。8回目となる今回は感度の高いインテリア好きに人気の「ACME Furniture(アクメ ファニチャー)」をピックアップ。実際にリペアやカスタムを行う職人さんにインタビューを敢行してきました。
公開日 2017.01.16
更新日 2022.01.07
渋谷店をPLACEにてピックアップしましたが、改めて「ACME Furniture」の紹介から。
アメリカン・ヴィンテージから得たインスピレーションをベースに、創業30年の歴史の中で培われた技術と経験、作り手の思いとこだわりを丁寧に抽出、表現したオリジナルプロダクト。バイヤーによってアメリカから集められた1940~70年代のヴィンテージ家具や雑貨は日本国内に渡った後、熟練した専門職人による忠実なメンテナンスによりを吹き返したリペアプロダクト。その双方の個性と魅力をミックスさせた独自の世界観を提案し、ファンを魅了しやまないインテリアブランドです。
中でも注目は、同ブランドが展開する「CUSTOM DESIGN」というライン。ヴィンテージエレメントを海外から買い付け、本来の使い方とはまた違った可能性を加えて生まれ変わらせ、ユニークで他にはない一点物に仕上げたカスタム家具シリーズなんです。
バスケットゴールを小粋なランプシェード。
ツールボックスはそのままプランターに。
バスサインを使ったフレーム。
前置きが長くなりましたが、このシリーズ含め、数々のハイセンスなプロダクトが生み出される背景を探るべくACME Furnitureの工房へ。
2フロアに別れた工房には使い込まれた工具やデビュー前の商品が並んでいました。
今回のインタビューに対応してくれたのはACME Furnitureのクラフツマン、設楽さん。まずは買い付けについて聞きました。
笑顔が素敵な設楽さん。
「買い付けはロサンゼルスとボストン。西と東の両方に行ってますね。年3回でロサンゼルスに2回でボストン1に回。その買い付けも僕だけではなく、スタッフでローテーションしています。でも、CUSTOM DESIGNシリーズの作り手は僕だけなんです」
CUSTOM DESIGNの制作は設楽さんお一人で担当されているんですね。買い付け担当の方でカラーが出たりしますか?
照明器具は2Fにて作れられています。
「あります。木製の定番的な家具ラインは各自しっかりと理解してるので誰が行ってもそれは買い付けてくるよねってのはある。でもCUSTOM DESIGNシリーズは、『意外な物を買い付けてきたな』って時がありますね」
買い付けで気をつけている点などありますか?
大物だけでなく細かいパーツも買い付けてくるとのこと。
「基本的に木製の家具であれば、重要なパーツが欠品になってなければ日本でも修繕可能。例えば塗装が剥げてるのは当たり前だったりするようにコンディションは様々。あんまりそういうところは気にせずに取っ手などのパーツを注意深く見ますね。その辺は探そうとしてもなかなかないので。あとはぱっと見ですかね。単純に気に入るかとか、カッコイイと思うかどうかで買い付けます」
COUSTOM DEGSINシリーズではベッドのスプリングをランプシェードにするなどのインパクト抜群なアイテムもありましたが、あれも思いつきですか?
「そうですね。買った時はランプにしようとは思ってなくて、マーケットに行ったらたまたま発見して、なんかに使えるかなと。ただ、僕らが行くマーケットは、ディーラー側もそこで売って生計立ててるので、そのまま使える可能性がある物を持ってくるんですよ。だから逆に『なんだこれは』とか『使い方がわからないけどかっこいいな』ってモノってあんまりないんです。なので通常の木製家具を仕入れてる中で見つけ出すって感じですね。見た時に『あれにしよう』と思うモノもあるけど、『何にするかわからないけどとりあえず買っておこう』みたいなモノも。このシリーズに関してはそのどちらかって感じです」
パーツだけでなく工具にも色々な種類が。
設楽さん自身はACME Furnitureに携わるきっかけはなんだったんですか?
「専門学校は特に出ていないんですが、もともと作るのは好きだったんです。そしてACME Furnitureに入る前も現場作業をするような建築系の作る仕事をしていました。ただ、全然存在を知らなかったんです。昔品川に住んでいた時にたまたまケーブルテレビで取材されていたのを見たんですよ。その映像で見たことないような商品が写っていて、『なんだここは!?』っていう衝撃があった。そして、その鷹番店の2階には当時工房が併設されていて、インタビュアーの方が『こういう作業って経験ない人でも入社したら教えてくれるんですか?』と聞いたんです。そうしたら『0からでも教えます』って言ってるのを見て、そのままお店に行きました。その、初めて行った時にちょうど求人募集の紙を目にして、そのまま店に入らず履歴書を書きに帰って提出したら運良く受かった(笑)。1回離れていた時期もあるんですが、内勤という形でかれこれ10年ぐらいになりますね」
すごい行動力!臆せずに飛び込んだことで、人生が変わったんですね。やはりこういうお仕事をされていると、ご自宅もDIYしてるんですか?
「家は壁紙を張り替えたり、キッチンと洗面所にタイルを貼ったり、あと中古の戸建てで庭があるので植木を替えました。学生時代はやってなかったんですけど、今はしっかりやってます。ただ、奥さんもインテリアショップで働いていてこだわりがあるので、言われて作るのが多いんですよ(笑)。簡単に持って来れるモノはこの工房で直したりもしてますね」
そのDIYの中でCUSTOM DESIGNのような作り方もするんですか?
「プライベートでリサイクルショップを回ってアクメが扱ってるようなメーカーの椅子なんかの家具が安値で出てたら買ったりします。『リメイクしたら良さそう』ってのもたまに発見したりしますね」
なるほど。掘り出しモノ探しは楽しいですよね。昨今のDIYという言葉の認知度が上がってきたことはどう思われますか?
「僕個人は流行る前から、欲しいなとか、ここにあったらいいなって思ったモノは作っていて、仕事柄、道具の使い方や技術などは比較的簡単に学べる環境にいて、恵まれていたんだなと思いました。ただ最近は都内にホームセンターなんかも増えてきて、材料も買いやすくなったし、工房や工具のレンタルも増えて、昔に比べたら気軽に作れる環境が整ってきた。そういう需要があるということは、意外と好きな人な多いんだなと思いましたね」
確かにシェア工房は目に見えて増えてきましたね。DIYの魅力はなんだと思いますか?
手作業によって生み出される家具はやはり雰囲気があります。
「僕はプロとして商品も作っていますが、やはり手を動かすのは楽しいし、出来ていくさまが見えるのが嬉しい。作りながらあーしてこーしてみたいなアイデアが出てくるのも面白いですね」
最後に今後作りたいモノがあれば教えてください。
どこを見てもワクワクしてしまうモノばかり。
「商品だとDIYで棚を作るみたいな感覚でサイズの要望を受けたりするんです。なので、サイズオーダーできるソファとか、簡易的にはなるけどお客様の間取りにあうような商品を作りたいですね。自宅で言うと、庭は絶賛作業中。あとは築20年の中古なんでクロスや床は張り替えてるんですけど、靴箱の扉だったり、ドアだったりは当時のまま。それを既存のものを生かしつつ何かしらしたいなと目論んでます」
アメリカ黄金期を彩ったヴィンテージプロダクトを生まれ変わらせる試み。買い付けから運搬、梱包、出荷作業までスタッフが1つ1つ行うというこだわりがあるからこそ、ハイクオリティなプロダクトが作られるんだなと感じました。そんなCUSTOM DESIGNシリーズをはじめ、ACME Furnitureのプロダクトが気になった方は、ぜひ店舗に足を運んでそのクオリティーを肌で感じてみてください。作り手の顔がわかったからこそ、さらに魅力的に見えるかもしれませんよ。
また、設楽さんのご自宅DIYも気になるところなので突撃取材もありえるかも!?ぜひご期待ください。
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