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Carton:島津冬樹が語る、ダンボールデザイン/CIRCLE of DIY Vol.06

使い終わったダンボールを加工し、財布やコインケース、クラッチバッグなど、私たちが普段使えるものとしてよみがえらせる…。それが、美大を卒業後、大手代理店への就職を経て「ダンボールアーティスト」へと転身した島津冬樹さんのブランド「Carton」の活動だ。サイトで作品を見ると、その表情豊かなデザイン性は「使用済みダンボール」というワードからイメージするものとはかけ離れている。何年も使用できる耐久性を兼ね備えているため、美術館のほか空港などでの取り扱いも多いという。チープな再利用品ではなく、エコ運動でもなく、”作品”。そう、あくまで島津さんが心酔しているのは、「ダンボールのデザインと素材」なのだ。今回は、個展のため香川県に滞在していた島津さんに、ダンボールのデザインの魅力とその活動への思いを伺った。

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島津さんがダンボールのデザインに目覚めたのはどういったきっかけだったのでしょうか?

2010年くらいですかね。地元のスーパーにオシャレなダンボールが捨ててあることに気づいたのが最初のきっかけです。もともとグラフィック(表現)が好きで、看板とか、身の回りにあるいいデザインを見つけるのが趣味。ダンボールもその一つだったんですよ。その時はたしか2、3個を拾って、家に持って帰りました。

 

—拾ってから財布にする発想へと至ったのはなぜだったのでしょう?

もちろん拾った時には財布にしよう、なんて思ってないですよ(笑)。実はそのとき、ちょうど財布を買い換えようとしていたのですが、いろいろな理由から欲しかった財布が買えなくなってしまって。じゃあ、お金が貯まるまでダンボールでいいや、と思って作り始めました。タイミングがマッチしたんです。

 

—財布として長く使えたのでしょうか?

僕も長く使えるのか不安だったのですが、意外と丈夫で。補修を加えながら2年ほど使うことができました。考えてみるとダンボールってもともとモノを運ぶために作られているので、丈夫であることは当然といえば当然だな、と…。もちろんその頃は今のような仕様ではなく、ホッチキスやマジックテープで留めたりして試行錯誤していました。でもホッチキスだと針が危ないし、マジックテープは意外とみんな嫌いだったりして…(笑)。改良を続けて、今に至っています。

 

マジックテープで留めていた頃の作品。

 

——その後ブランドとしての活動が始まるわけですが、周囲の反応はいかがでしたか?

最初は馬鹿にされました。ブランドにしようと思っていると話しても「そんなの絶対に売れないよ」とか言われたり。でも学園祭のフリマで販売してみたらとても好評で、20個が初日で完売したんです。お、これはいいぞと思って。

 

現在のCartonの作品群。

 

—ダンボールをカテゴライズするとしたら、どのように分けられるでしょう?

あくまで大別ですが、海外産、国内産という「出身地」で分けるか、ダンボールの「質感・構造」で分けられます。海外産は、国内産比べるとベースの色がしずんでいるものが多かったり、強度が国内産より低かったり。日本でも、例えば草津温泉にしか置いていないなどの「地域限定もの」があって、僕は「ご当地ダンボール」と呼んでいます。

 

香川県でしか使用されていない、クロネコヤマトのダンボール。

 

—ダンボールのデザインの魅力はどんなところにあるのでしょうか。

ダンボールを見ていると、本当に見たことのないデザインや書体に出会うことができるところですね。それは、パソコンでデザインしたものとは全く違って、オリジナリティが高い。デザインの視点で学ぶことが多いです。そういうところでいうと、国内産のダンボールのほうが楽しめるかもしれません。海外産はアルファベットということもあって書体が多いので普通のフォントもままあるのですが、国内産は手書きやオリジナルの書体など、日本語ならではの工夫があったり、印刷技術が高いのでグラフィックが基本的に綺麗に出ていて、良くも悪くも「きちっと」している。

 

—ダンボールで国民性が分かりますね。

そうです。ただ、綺麗なのが魅力かと言われると少し違って。例えば海外産のものにはよく「版ずれ(印刷時にインクを載せた版がずれてしまうこと。多色刷りの際に生じることがある)」を起こしているものがあって、それも味があっていいなと思いますね。

 

海外の飲料系のダンボール。

 

海外の果実系のダンボール。左下の「バナナ美人」は意外にもエクアドル出身。現地には流通していないという。

 

国内のダンボールは全体的にかわいい印象のものが多い。キャッチフレーズにも思わずクスっと笑ってしまうような「味」がある。

 

—日々、ダンボールを通してデザインやその国や土地の文化を眺めているんですね。

そうですね。どこへ行くときも、常に目を光らせながら、いいダンボールがないか探していますよ。僕にとってどこで、どうやって拾ったのか、または誰にもらったのか、といった「拾うまでの物語」があるほうが思い入れも強くなるので、制作において重要な工程の一つだと言えます。見逃せば一生手に入らないかもしれませんから。ダンボールをどう拾ったかで、その商品の見方が変わることもよくあります。

 

—お話を聞いていると、ダンボールが島津さんと世界をつなぐツールになっている気がします。

工場で出荷され、お店で並び、捨てられ、最後には僕が拾って作品にする。ひとつひとつのダンボールの物語を詰め込むような気持ちで制作している部分はあると思いますね。ダンボールとの出会いが、人や場所との出会いをもたらしてくれているんです。

 

<番外編>

DIYer・島津冬樹の「ご当地ダンボール」をめぐる旅 in 香川県[やまくに]

 

PROFILE

島津冬樹(しまづ・ふゆき)

1987年、神奈川県生まれ。2011年、多摩美術大学情報デザイン学科卒業。広告代理店を経て、2015年、アーティストへ。「生活に欠かせない、環境にも優しくある程度の強度も備わっており、安価で入手も容易。軽量で加工も簡単にできるすばらしい素材」というダンボールを使って、その魅力を伝えるべくブランド「Carton」をスタート。世界20カ国以上を回り、世界中のダンボールを拾い集める「ダンボールコレクター」でもある。

Carton:http://carton-f.com/

前回の記事:使用済みダンボールでクラッチバッグをDIY

 

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