オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?

オフィス天井は主に3種類あります。リフォームやオフィス移転の際には、種類・デザイン・費用についてはもちろん、高さ・吸音性・断熱性・安全性などオフィス環境に関わる項目も考慮が必要です。オフィス天井の設置について詳しくご紹介します。

公開日 2022.12.24

更新日 2022.12.24

オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?

天井は室内の印象を左右します。オフィス天井も例外ではなく、日々働く環境を構成する大切な要素です。天井の選択次第ではオフィスの雰囲気が変わり、時には業務効率に関わることもあります。
移転やリフォームを検討しているのなら、オフィス環境の要になる天井についてぜひチェックしてみて下さい。

オフィス天井には主に3種類ある

オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?
オフィス天井の種類は主に3種類です。種類ごとに違った特徴があり、メリットや注意点もさまざまです。オフィス天井を決める際には、それぞれのポイントを把握しておきましょう。

1. 在来工法天井

在来工法天井は、吊り天井の設置時に多く採用されている種類です。普及率が高く、比較的費用を抑えやすい特徴があります。

「下地材」と呼ばれる骨組みに「仕上げ材」を張り、その上に消防設備・照明・空調などを設置すれば完成です。

仕上げ材に使われる素材は、岩綿や石膏ボードです。屋外の天井では、アルミのような金属パネルを使用するケースもあります。

石膏ボードは、塗装・クロスで加工が可能です。幅広いデザイン性が楽しめます。天井のデザインは室内の雰囲気に大きく関わるため、構築したいオフィスの環境によっては重要視するポイントになるでしょう。

注意点は、間仕切り(パーティション)・照明・天井設備などの移動がしにくいため、レイアウトの変更が難しくなってしまいがちな点です。頻繁に模様替えをしたいオフィスでは、導入に注意が必要でしょう。

2. ライン型システム天井

仕上げ材と天井設備が一体した種類を、ライン型システム天井と言います。仕上げ材・空調・照明・設備機器がライン状になっているため、この名称で呼ばれています。

空調や照明のほか設置される設備機器はさまざまですが、多くの場合、スプリンクラーや火災報知器をはじめとした消防設備です。

設備を設置するライン間隔の寸法は任意で決められ、設備機器の移動も比較的容易です。そのため、オフィス室内のレイアウトに合わせやすい特徴があります。

デスクと照明の配置を工夫すれば、デスク周りの輝度を上げ、オフィスワークの快適性を上げる効果が狙えるでしょう。業務効率化アップにも繋がりそうです。

抑えておきたい注意点は2点です。
まず、1点目は照明の向きを変えるのが難しい点です。ライン型システム天井は照明が天井にあらかじめ埋め込まれる形になり、動かすのが難しくなります。

もう1点は耐震性についてです。このタイプは下地材がライン状に配置され、その上に仕上げ材がのっています。地震の際に下地材が剥離し、仕上げ材が落下する可能性が否定できません。

ただ、天井設置を手がける正規業者は必ず法律で定められた耐震基準を守っています。耐震性について気になる場合には、詳しい問い合わせをしてみてはいかがでしょうか。

3. グリッド型システム天井

グリッド型システム天井は、格子状の骨組みに仕上げ材をはめ、照明をはじめとした設備機器を設置するタイプの天井です。

このタイプの天井は、仕上げ材や設備機器の任意の部分を取り外せます。レイアウトを変更しやすく、柔軟性の高さが特徴です。幅広いオフィスデザインに対応できる強みがあります。

パネルごとに天井裏の点検・保守・清掃もおこなえるため、メンテナンス面やオフィス衛生の点でも安心です。

また、骨組みとなる下地材が格子状になっており、仕上げ材が落下しにくい仕組みです。防災面でも特に注意したい企業にとって、頼もしい選択肢になりそうです。

注意点は2点あります。
1点目は吸音性が比較的低いという特徴です。吸音性が低いと室内の音が反響しやすくなるため、オフィス環境や業務内容によっては思ったよりも騒々しさを感じる可能性が考えられます。

もう1点は費用面です。このタイプの天井は費用が高くなるため、予算との兼ね合いが大切です。

デザイン性を求めるならスケルトン天井もオススメ

オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?
企業のカラーやブランディングの方針によっては、デザイン性の高い室内を求めることもあります。そのような際にはスケルトン天井はいかがでしょうか。

天井下地を設置せず、躯体(コンクリート)をむき出しにしたタイプの天井です。下地材が不要になるため天井の高さを限界まで使えて、空間に広がりが生まれる効果があります。築年数が旧く、天井が低いと感じられる建物のリノベーションでも使える方法です。

天井高とともに開放感が生まれることも特徴です。オフィス環境に開放感があると余裕が感じられます。

そしてオシャレな印象に仕上がるのも嬉しい一面です。照明やダクトなどがむき出しの躯体に配置されているさまは、外国映画やドラマに出てくる倉庫やガレージのような雰囲気です。まるでデザイナーズ・オフィスにも見えます。ハイセンスなオフィス環境の構築に役立つでしょう。

ただ、防音性や断熱性に注意点があります。天井に下地材を使っていた時には天井と上階の間に空間があり、防音性を高めていました。スケルトン天井では下地材がなくなるため、必然的に空間も失われます。そのため上階の活動音や排水音が伝わりやすくなり、オフィス環境に悪影響が出てしまう可能性も。

同時に、下地材は吸音の役割も持っています。つまり、下地材がなければ吸音性も下がり、室内の音が反響しやすくなってしまいます。壁や床に吸音性が高い素材を使うなどの対処を検討しましょう。

断熱性も下がりがちです。天井と上階の間の空間は、防音性とともに断熱性の確保にも繋がっていました。間の空間がなくなる分、冷暖房の効率が悪くなる可能性があります。窓や壁の断熱性を上げられる工夫が必要です。

また、躯体の状態によってはスケルトン天井の設置が難しいケースがあります。

このようにデメリットもありますが、ほとんどの場合、対応策が講じられる内容です。スケルトン天井ならではのメリットと比較しながらの検討がオススメです。

オフィス天井の材質はどうする?

オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?
オフィス天井で使われる材質はデザインや吸音性に関わります。岩綿吸音板やクロスがよく使われています。また、仕上げの方法によって雰囲気や質感が変わります。イメージ通りのオフィスデザインにしたい時には、ぜひじっくり検討して下さい。

岩綿吸音板

岩綿吸音板はオフィス天井に使われる材質のひとつです。ロックウール(岩綿)と呼ばれる素材で作られています。下地材に接着剤とホッチキスのようなステープルを使って貼り付けます。

表面に多くの穴が開けられているボード形状で、その名称の通り、吸音性に優れた性質です。

吸音性のほかにも断熱性・防火性に優れ、不燃材のカテゴリーに入ります。不燃材は火災時に燃焼しにくいとともに、有害物質(ガス・煙)を発生させない特徴があります。万一を想定した場合、頼もしさが感じられる材質です。

有害と言えば、岩綿と1文字違いの石綿(アスベスト)を思い出す人もいるでしょう。しかし岩綿はアスベストとは異なり、有害性な物質は含まれていません。オフィス環境を安全に整えられるため、安心してご利用いただけます。

クロス

下地材に貼り付ける材質がクロスです。天井ではビニールクロス、織物、紙などがよく使われます。バリエーションやデザインが豊富にあるため、コーポレートカラーやオフィスイメージに合わせた空間を作りやすい特徴があります。

例えば、白いクロスや薄いベージュのクロスを使えば、天井の高さや空間の広さを演出する効果が生まれます。天井・壁・床のカラーリングを工夫すれば、統一感を出しやすいのもクロスの実力です。

無地だけではなく、模様が入ったクロスも選べます。「少しアクセントが欲しい」「模様を入れて明るい雰囲気を出したい」など、希望を反映しやすい点がクロスの大きなメリットです。

板張り

下地材に細長い板状の仕上げ材を並べます。フローリングの床をイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。

板張りで使われる仕上げ材は「ウッドパネル」と呼ばれ、木の質感を出したい時にオススメです。木の質感はオシャレな雰囲気だけではなく、リラクゼーション効果や集中力アップ効果などがあると言われています。従業員の保健衛生や業務効率向上が期待できるのも嬉しい一面です。

自然の木材から出来ている「無垢材」、合板に木目をプリントした「機材+木目プリントシート」、木の板を一定の間隔に並べる「ルーバー」、合板に薄くした自然の木材を貼り付けた「化粧板」など、さまざまな板張りの種類があります。

塗装

下地になるボードに塗装をして仕上げる方法です。ボードは石膏ボードがよく使われます。石膏ボードは天井施工で多く使われており、防火性・防音性が高いことが特徴です。経済的で費用面に貢献するのも嬉しい一面でしょう。

石膏ボードに施す塗装の種類は多岐にわたります。色や仕上がりの質感が豊富で、塗装でしか生み出せないニュアンスをプラスすることもできます。

最近ではスケルトン天井に塗装仕上げをし、あえてコンクリートの質感を生かす方法もあります。ただでさえオシャレなスケルトン天井に塗装ならではのニュアンスをプラスすれば、オフィスの雰囲気が一気にグレードアップしそうです。

快適に感じるオフィス天井の高さはどのくらい?

オフィスの天井の種類や材質、高さはどうする?
天井の高さはオフィスの快適性を左右します。天井が低すぎると圧迫感が生まれがちです。圧迫感はストレスを招き、集中力を低下する原因です。業務効率を考えると適切な高さを求めたくなるでしょう。

ちなみに建築基準法によると、「天井には2.1mの高さを持たせる」と規定されています。2.1mを超えていれば法的に問題ありませんが、快適性を求める時には2.6m以上がオススメです。

また、オフィスフロアの面積によって適切な天井高は異なります。オフィス面積が1000㎡を超える場合、天井高は3m以上が理想的だとされています。

オフィスの広さやレイアウトを考慮した上で、理想的な天井高を検討してみてはいかがでしょうか。

天井高はもちろん、天井の種類や工法、使われる素材・塗装など、快適なオフィス環境の構築にはチェックをオススメしたい要素がいくつもあります。必要な要素をピックアップし、ぜひ皆様ならではのオフィスを作り上げて下さい。オフィスの天井でお悩みの際は、顧客目線で内装リフォーム・リノベーションを手掛ける「カシワバラ・コーポレーション」にぜひご相談ください。

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