楽しく作れて面白く遊べる!ペーパークラフト「カミカラ」/CIRCLE of DIY Vol.30
編集部が注目するDIYerやスポットを紹介する本連載。今回は、最近SNSなどを通して世界中に驚きを与えているペーパークラフト作品、紙のからくり「カミカラ」をピックアップ。作者の中村開己さんに、創作の魅力を伺いました。
2018.04.16
今回のCIRCLE of DIYでは、遊んで面白いだけでなく「作る」工程も楽しい、そんなDIY好きの心をくすぐるペーパークラフトをご紹介。その中でも、不思議な動きをするからくり付きの作品「カミカラ」の魅力に迫ります。
カミカラには、落とした反動で瞬時にペンギンが出来上がるものや、数個の歯車が不思議な動きをしながらハートを形作るものなど、一度見たら忘れられない数々の作品があります。今回は、そんなカミカラの生みの親である中村開己さんに誕生秘話などを伺いました。
いかに簡単に遊べる仕組みを作るか
なぜペーパークラフトに興味を持ったのでしょうか?
「そもそも小学生の頃に、雑誌の付録としてついてくる紙のキットを組み立てることが大好きだったんです。そして27歳のとき、たまたま図書館で『ペーパークラフトの技法百科』を手に取り、その中に輪ゴムを使った作品が紹介されていて、より興味を惹かれました。その後、趣味程度に創作を続け、本格的にカミカラを作り始めたのが2000年頃です」
イタリア・ボローニャで行われる世界最大の児童書専門見本市「ボローニャ国際児童図書展」に参加した際の中村さん。
作品に手ごたえを感じたのはいつ頃ですか?
「初めて大きな反響を感じたのは、2003年に富山で開催された『アートマーケット』に参加したときです。作家が自分の作品を持ち寄り販売するイベントで、100ブースほどが出店していました。そこで、“潰れた車が元に戻る”作品を販売したところ、予想以上にウケたんです。それまでは、立方体や正十二面体などの幾何学的な形が好きだったんですが、そのときお客様が喜ぶ姿を見て、『これからは、車や動物を作ろう』と思いました」
お客様の反応を見て、ほかに感じたことはありますか?
「仕掛けがシンプルでなくてはいけないと思いましたね。初期の仕掛けは、側面を折り込んでから、上下に押し潰すなど、遊ぶまでに時間がかかったんです。お客様を見ていると、それが上手くできていない方が多くいました。それからは、“いかに簡単に遊べる仕組みを作るか”を常に考えています」
YouTubeから新聞、テレビ番組、そして本の出版へ
そんな中村さんの作品はどのような形で世の中に広まっていきましたか?
「まずYouTubeに“ハートの歯車”の作品をアップしたところ、それが3日間トップページに紹介して貰えました。それでアクセスが伸び、新聞社が記事に取り上げてくれたんです。そうしたら、テレビでその新聞記事が放送され、続いて、その番組を観ていた出版社の方から電話があり、本の出版も決まったんです。こうして、次第に皆さんに知っていただけるようになりました」
2008年に勤めていた会社を辞め、作家として独立されていますが、きっかけは何ですか?
「今、会社を辞め作家として勝負しなかったら、絶対後悔すると思ったんです。もちろん当時40歳くらいだったので会社を辞めたら再就職はないと思い、ずっと悩みました。ただ、いざ辞めてみると、本の出版が決まるなど、予想以上に様々な所から声がかかったんです」
その後、世の中の反響でとくに印象に残っていることはありますか?
「小学生向けの雑誌から『付録を作ってくれませんか?』とオファーがあったときは凄く嬉しかったですね。子供の頃に夢中で作っていた雑誌の付録を、自分の手で生み出すわけですから」
100年後の子供たちも遊べる作品を目指して
今、力を入れていることを教えて下さい。
「糊もハサミも使わずに遊べるペーパークラフトを作ることです。去年から、台紙からパーツを抜き取り、組み立てるだけで完成する作品を作っています。お客様の反応を見ていると、糊とハサミを使って工作することは初心者には難しいと感じたんです。特に海外で出展したときに、外国人のお客様を見て強く思いましたね」
なるほど、SNSを通じて海外でも注目を集めているようですが、どのような反響がありますか?
「ありがたいことに、アメリカやドイツなど、様々な国から注文が入っていますね。また、海外のイベントにも参加しているんです。初めて出展したのは韓国で、その後イタリア、今年はドバイへ行って来ました。韓国では出展した作品は完売し、ドバイでは作品を凄く気に入ってくれた方がまとめ買いしていきましたね」
凄いですね!それでは、作品のこだわりを教えて下さい。
「とにかく、お客様が少しでも簡単に組み立てられる作品にすることです。誰もが楽しく作れて、なおかつ出来上がりが面白い物を作りたいと思っています。また、子供はどうしても遊び方が激しくなるので、頑丈に作ることも心がけていますね」
子供だけでなく大人も夢中になって作っています。
最後に今後の目標をお願いします。
「100年後の子供たちにも、遊んでもらえる作品を作りたいですね。毎年、近所の児童館でワークショップを開いているのですが、子供たちが嬉しそうに作ってくれています。ペーパークラフトを通して、物を作る楽しさを知ってくれたら嬉しいですね」
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Japan
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