【知らなきゃ損】外壁汚れが「目立たない色」と「目立つ色」、何が違う?

外壁には汚れが目立つ色と目立たない色があります。機能性と好みを両立させるために、外壁によく使われる色の特色と、汚れの原因と対策を事前にチェックしておきましょう。正しい知識あれば、施工後の満足度もきっと高まります。

2022.01.07

外壁を選ぶ際に重要となるのが色選びです。外壁の一般的なメンテナンスサイクルは10年程度といわれているので、新築やリフォーム時に1度決めた色を変える機会はしばらくありません。そこでまず、壁が汚れる原因と汚れの種類別メンテナンスをチェックしましょう。その上で、汚れが目立たないカラーを選べば、お掃除に手間がかからず、長く美観を保てます。

外壁の色を選ぶ前に知っておきたい、汚れの原因とは?

外壁の汚れは知らないうちに蓄積していきます。家の中と違ってお掃除する機会もほとんどないので、汚れが気になってもそのまま放置してしまう方が多いのではないでしょうか。外壁が汚れていると美観を損なうのはもちろん、劣化に繋がってしまいます。立地や気候により、汚れ方の傾向は異なります。早い段階で対処するためにも、汚れの原因を知っておくと安心です。

空気による汚れ

気候風土、車の排気ガスなどの周辺環境により、空気中に舞うチリやホコリの量が変わってきます。雨によって小さな汚れは流れていきますが、雨の当たらない軒の出の下や隣家と接した壁面などは、小さな汚れが蓄積しやすい傾向があります。チリやホコリは目に見えにくいものの、蓄積すると外壁全体がくすんだり、一部が黒ずんだりします。また、寒冷地や塩害のある地域では、外壁の隙間に入り込んだ水や塩が原因となり、劣化を早めます。

湿気による汚れ

北側の壁や隣家と接していて日が当たりにくい外壁には、カビやコケが発生しやすい傾向があります。風通しが悪いので、水が蒸発せずにそのまま残り、冬は凍害の原因にもなります。カビはくすみや黒ずみとなり、コケや藻は壁を変色させ光合成を続けるので、見つけ次第対処したい汚れです。壁に植木が接している場合は、剪定して風通しがよくなるよう工夫しましょう。脚立や物置などは壁に寄せ過ぎず、少し距離を離して設置すると、錆などの汚れ対策になります。

窓枠付近の汚れ

外壁や屋根に付随する窓枠や雨どい、雨戸などをまとめて付帯部といいます。付帯部、特に窓枠付近は雨でチリやホコリが流れる通り道になり、黒ずみが縦に伸びたり、アルミサッシの錆が流れたりしやすいものです。落ちにくい汚れで、外壁だけではなくアルミサッシなど付帯部に発生する錆や腐食部分を同時に補修しなければ、汚れの原因はなかなか解消しません。付帯部が外壁に比べ劣化が早いこともあるので、チェックを怠らないよう注意が必要です。

排気口や換気扇の汚れ

排気口や換気扇から排出される空気は、フィルターを通ってもススや油分が多く含まれています。汚れを含んだ油は雨で流れにくく、デコボコした壁に付着して黒ずみ汚れの原因となります。また、浴室の換気扇は、風呂場の湯気とホコリを排出するため、カビ汚れに繋がります。外壁掃除をするだけではなく、排気口や換気扇の定期的な内部清掃をして、汚れにくくすることが重要です。

外壁の汚れが目立たない色はどんな色?

外壁に付着するチリやホコリなどの汚れは、純色に灰色を混ぜた「中間色(または濁色)」と呼ばれる色をしています。先に挙げた汚れは外壁に均一に生じるわけではないので、年月が経過するほど、汚れ部分が目立ってしまいます。コケや錆は機能性の高い外壁塗装で一定程度防げますが、直接付着する汚れを防ぐのはなかなか難しいでしょう。汚れが目立たない色選びで、キレイな外観を保てます。

一番人気はグレーの外壁!

外壁に付く汚れは灰色が混じった色なので、グレーは汚れが目立ちにくい中間色です。白と黒の間であるグレーの色の幅は広いので、好みに合ったものを選べます。汚れが目立たない上、明るい印象を与える、白に近いグレーが人気です。
単なるグレーは好きではない人は、グレーに多少色味を足した中間色を選ぶのもよいでしょう。スモーキーカラーやくすみカラーのような色は、強さや派手さがなく、日本人が昔から好んできた色です。いずれにしても、自然環境や住環境で付着しやすい汚れに近い色を選ぶのがポイントです。

ベージュやアイボリーもオススメ

アイボリーやベージュも人気です。どちらの色も「進出色」や「膨張色」に分類され、家を大きく見せたり、立体感を引き立たせたりする特徴を持ちます。
アイボリーは、黄色っぽいグレー味のある白色です。グレーに比べ明るい印象があり、和風でもモダンなデザインでも幅広くマッチします。ベージュはごく薄い茶色または黄色を指し、ソフトで暖かみがあるので周囲の景色から浮くことがなく馴染みます。ベージュもグレーと同様に、ライトベージュやダークベージュなど濃淡のカラーバリエーションが豊富です。屋根や外構に合わせて、微妙な色合いを楽しみながら色選びができるでしょう。

オシャレだけど注意!外壁の汚れが目立つ色

独自性のあるオシャレな住宅は、比較的汚れが目立ちやすい原色を使っているケースが多々あります。外壁の種類や塗装で問題を軽減できるケースもありますが、注意が必要です。色選びをする際の参考にしてください。

白&黒の外壁

真っ白や真っ黒な外壁は汚れが目立つので、外壁にはどちらかというと不向きです。白の中でも特に明るいピュアホワイトは、ヨーロッパの海沿いに広がる建物のような、すっきりとした外観になります。しかし、汚れはもちろん劣化も目立ちやすいので、オフホワイトなど明るみを抑えた色調がオススメです。

黒は白に比べれば汚れは目立ちません。ガルバリウム鋼板や金属系サイディングボードなど濃い色調展開が多く、全体がシックな印象になるため人気があります。しかし、黒は熱の吸収率がアップし、夏場に家全体が温まってしまうリスクがあります。遮熱効果のある外壁材と、機能性の高い塗装を組み合わせるなどの対策を講じなければなりません。

原色系の外壁

色の濃い原色系の外壁は、当初は美しく仕上がっても、経年劣化により全体の色が抜けて古びた印象を与えてしまいがちです。中間色に比べ退色が顕著なので、リフォームや施工の段階でコーティング塗装を施すなど、工夫が必要です。

また、外壁の色選び全体における注意点にもなりますが、室内と屋外の光源では、外壁の素材見本の見え方が大きく異なります。
展示場やショールームでお気に入りの色を選んでも、実際施工してみると太陽光の反射でイメージが違ってしまうケースが多々あります。自宅の壁と見本を見比べてみたり、同じ素材・塗料を使用した住宅を業者の方に案内してもらったりすると安心です。最近ではPCやアプリで外観シミュレーションが行えます。とはいえ、こちらも実際の見え方と異なりますので、参考程度に留めておきましょう。

もしも外壁が汚れてしまったら

外壁によってはメンテナンスがいらないという誤解があるのです。しかし、メンテナンスが比較的楽ということはあっても、不要になることはあり得ません。自分で手軽にできるメンテナンスといえば掃除です。外壁を汚れたままにしておくと、汚れが固まり落ちにくくなるだけでなく、塗料は充分にその機能を発揮できません。掃除は、劣化を事前に食い止める有効な手段の一つです。年に1~2回、汚れが気になったタイミングで掃除をすれば、住宅を長持ちさせられます。

自分で汚れを落とす方法

外壁洗浄といえば高圧洗浄機が挙げられますが、金属系サイディングボードなど、外壁の種類によっては強過ぎる圧力のせいで、凹んだり塗装が傷付いたりしてしまう恐れがあります。作業に慣れていないと、隙間から壁内に水が入り掃除がさらに大変になることも。
こびりついた汚れでなければ、ホースの水をかけながら、柔らかいブラシなどで汚れを落としていきましょう。タワシなど固い素材で洗浄すると、ヒビから水が入り、腐食などに繋がるので注意が必要です。また、パネルを組み合わせている外壁は、下から上に向かって水が流れるように想定していないので、上から下に向かって汚れを流していきましょう。
鳥の糞、カビ、コケ、藻などは見つけ次第掃除します。マスクやゴム手袋を装着しましょう。酸性・アルカリ性の洗剤、粒子の入っているクレンザーは壁を傷める可能性があるので、中性洗剤を選びます。塗装との相性もあるので、目立たない場所で一度試し洗いしてから全体に使うと安心です。

専門業者に依頼

黒ずみや錆など、自分ではなかなか落としにくい汚れはプロに依頼すると安心です。外壁には窯業系サイディングボード、ガルバリウム鋼板、塗り壁、タイル、レンガなどさまざまな種類があり、素材によって洗浄方法や費用相場が異なります。高圧洗浄の場合、費用は一軒家で3~5万円程度が目安です。住宅によっては足場や養生が必要となり、別途追加費用がかかります。足場がいらない専用車を使える施工業者もあるので、見積もりの段階で確認しておきましょう。

漆喰やコンクリート、モルタルなどは高圧洗浄によって一部破損してしまうので、再塗装とセットで行うのが一般的です。また、一般的な外壁材である窯業サイディングボードの場合、10年前後で再塗装が必要になります。もしそのタイミングに近いようなら、この際汚れが目立たない色に塗り替えるのもよいでしょう。

洗浄後の再塗装における注意点

新しく色を選ぶ前に、市区町村の「景観ガイドライン」を確認しておきましょう。例えば、歴史ある京都は、外壁や屋根に原色などの目立つカラーが使えず、個人宅も例外ではありません。練馬区にある景観ガイドラインには、「みどりが映える色彩とする」「駐車場を目立たないようにする」などが定められています。
また、外壁の色が決まったら、新築時や前回の塗装時に使った塗料の種類を確認します。前回のどのような塗装をしていたのかをしっかり業者に伝え、オススメの塗料を教えてもらいましょう。

工事後にどのようなアフターフォローがあるか、また何か不具合が発生した時の保証内容と保証期間も、業者選びの際に、注意してみておくべきポイントの一つです。
家に帰るたび目にするもので、周りの人たちからの印象を大きく左右する外壁。清潔感のある魅力的な外観を保っていきたいものです。

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DIYer(s)

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