ビール職人が造り出す高品質なビールが「craft=手工芸品」にかけてクラフトビールと呼ばれ、世界で愛されているのをご存知でしょうか。DIYer(s)が常に注目しているDIYの聖地、ポートランドも“世界のBESTビール都市”の第1位に選ばれ、都市を象徴する文化の1つとなっています。そしてその流れはここ日本にも来ているとの情報をキャッチ。
そこで今回、豊富な知識、各地ブルワリーとの深いコネクション、ファッション業界で培ってきた実績と背景を組み合わせ、クラフトビールのセレクト・バイイング・ディレクションを行うユニット“THE GOOD BEER HUNTER TOKYO”の田嶋伸浩さんと名村恒毅さんにインタビューを敢行。なぜ今こそ日本でクラフトビールに注目すべきなのか、そしてDIYとの関係性について伺ってきました。
地ビールではなく、クラフトビールへと昇華した日本ならではの1杯を改めて感じてほしい
THE GOOD BEER HUNTERの名村さん(左)と田嶋さん(右)
—まずはお二人がこの活動を始めたきっかけを教えてください。
(名村)「名前自体は代々木上原にあるレストランの9STORIESでクラフトビールのディレクションとバイイングを行った際に始めた屋号なんです。その動きを走らせようとしたプレス側の理由というか、もっと市民権が得られる活動ができないかと思った時に、クラフトビールに特化したフリーマガジンのTRANSPORTERを運営していた田嶋さんに相談したのが活動の始まりでした」
(田嶋)「もともとTHE GOOD BEER HUNTERは1年前からTRANSPORTERで構想はしていたんですよ。海外に行くと、様々なクラフトビールが置いてあるボトルショップがあるんです。いわゆる日本にあるアパレルのセレクトショップと同じで自分たちの好みのビールを各ショップで打ち出しているんですよ。ただこれを大々的にやるには、まず日本ではまだまだクラフトビールが認知されてない。でも何年か後にセレクトショップが必ず受け入れられると思っていたタイミングで、話が噛み合ってこういう流れで広げていこうとなった」
—なぜそこまでクラフトビールにご興味を?
(田嶋)「TRANSPORTERはやり始めて3年半。きっかけはただ友人と飲んでいた時にそれだけの知識があるなら何かしたらやったほうがいいんじゃないかと言われて、じゃあやろうかっていう。ほぼ勢いでやってしまったんです(笑)。クラフトビール自体は20年前から飲み始めていて、洋服のシーンと一緒で自分たちのもいいけど、あそこのもいいよねってハッキリ言える感じがよかった。クラフトって名前はブルックリン・ポートランドの流れがあるし、クラフトビールを一番消費している州もオレゴン。そういのもあって徐々に日本でもポートランド特集の雑誌などで知ってもらう機会は多くはなっています。さらに掘り下げて言えば、サードウェーブのコーヒーを飲んでいた人たちがクラフトビールを飲んでいた、というのがあります。やっぱり手作り・少量生産のビールで、自分の好きなモノを作って共感を得ていくというのがアメリカのカルチャーになっているので、日本においてもそういう部分は理解されるのではないかと思ったんです」
(名村)「日本にも元々クラフトビールと呼ばれるモノとして地ビールがあったんです。ただ、1994年にそのブームになったんですけど、名前の響きが良くなくて廃れちゃったんです。でも “クラフトビール”と名前が変わった今、イコール海外のモノってイメージじゃなく、日本ならではのモノを改めてピックアップできればなと思ったんです。もちろん世界各地のクラフトビールもリスペクトしています。ただ日本人って隙間を埋めるのが上手いと思うんですよ。例えばお米を使ったクラフトビールのように、特産品を使って今までなかったモノを生み出したり、DIYで作っていたりするところが面白いから知ってもらいたい」
—なるほど。そうやって種類が増えることで、焼酎や日本酒のように掘り下げる楽しみが出てくるわけですね。一度はブームが沈静化してしまった地ビールが、クラフトビールと名前を変えることでDIYな部分がよりフィーチャーされるようになってきている、というのは何とも素晴らしい流れです。最後にお二人のこの活動の展望を教えてください。
(名村)「この活動の目標というか、ゆくゆくはファッションともっと結びつけたい。ブルワリーとファッションを近づける仲介役になって、ブランドが出すオリジナルビールをプロデュースしたいですね。あと、価格設定やターゲットが違うファストファッションやセレクトショップ、メゾンブランドがあるファッション業界ように、ビールにおいてもそれぞれの価値が楽しめる環境を作りたい」
(田嶋)「何よりカルチャーとして根付かせたい。まずはTHE GOOD BEER HUNTERというボトルショップを増やしていって、酒屋さんがそういったお店を出していってくれたら嬉しいですね。あとはファッションという部分で若者にも興味をもってほしいので、お酒のイメージを向上させて、ライフスタイルに自然に在るモノとして認めてもらいたい」
以上、クラフトビールのお話はいかがでしたでしょうか。きっと改めて注目してみようと思った人がいてくれたら嬉しいです。
ということで今回ご協力いただいたTHE GOOD BEER HUNTER TOKYOのお二人とタッグを組み、クラフトビールの連載がスタートします。彼らがオススメする今週の1杯を紹介するとともに、その1杯が味わえるお店のクラフトビールに合う一品をご紹介。何ともまぁ酒好きにはたまらん企画となりますが、クラフトビール1つ1つでまったく違う味が楽しめる理由やエピソードも必見ですよ。そしてゲストの登場?や番外編?などお楽しみが目白押しなので、ぜひご期待ください!!
INFORMATION
THE GOOD BEER HUNTER TOKYO
田嶋伸浩、名村恒毅により構成される国内・国外のクラフトビールを“時・場所・飲むヒト”を想定し、タップや瓶、缶問わず、よりよい楽しみ方を紐解き、独自に構築したうえで“セレクト・バイイング・ディレクション”するユニット。アパレルセレクトショップ、期間店、フェス、レセプションパーティーなど様々なシーンで通も“うなる”セレクション・提供を行っている。
田島伸浩
クラフトビールマガジン『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』の発行人。長野 OH!LA!HO BEERの「CAPTAIN CROW EXTRA PALE ALE」、伊勢角屋麦酒の「GOLDEN DRAGON SESSION ALE」のプロデュースを手がけるほか、アパレルブランド、スタイリスト事務所を経営するなど活躍の幅は多岐に渡る。
URL:http://beertransporter.com
名村恒毅
国内外の様々なメンズ・レディースブランドのPRを務める情報発信者として、『TRANSPORTER BEER MAGAZINE』のPRも担当。アパレルブランドやセレクトショップとブルワリーの架け橋役として注目されているほか、本年12月より新たなファッションPRとしての活動を予定している。
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