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壊れた器を新たな美へと昇華させる「金継ぎ」体験

お気に入りのカップやお皿を割ってしまって泣く泣く処分する…なんて経験ありますよね。日本には、壊れた器を修復して新たな美しさへ昇華させる「金継ぎ」という伝統技術があります。今回は、そんな金継ぎ体験を安心して気軽に体験できる教室をご紹介。

 

DIY好きの創作意欲を駆り立てる佇まいの陶芸教室「テラ小屋」。下北沢駅から三軒茶屋方面に15分ほど歩いた住宅街にあります。門をくぐり、この細道を進むと…

 

入口に飾られた帆布の看板が可愛らしく迎え入れてくれます。

 

陶器やろくろが並ぶ教室内は、大きな窓から太陽の光が差し込み、築56年の平屋とは思えないほど明るくゆったりと作陶できる雰囲気。

 

この心地よい空間作りは、店主の中村さんのこだわりで、教室の床の板張りも、ご自身で行ったもの。

 

教室の雰囲気を存分に満喫し、創作気分が高まったところで、修復したい器を先生に見ていただきました。

 

口元が欠けてしまった器。先生曰く、このくらいの破損であれば2時間程度で修復ができて、その日のうちにお持ち帰りもできるとのこと。継ぎ師が本漆を使用して行う金継ぎは、時間をかけて漆を重ね、乾燥をさせる工程を何度も繰り返します。高い技術を必要とし、手先が器用な人でもとっても難しいそうです。併せて修復するのに少なくとも2週間ほどかかかってしまうそう。しかし今回は、誰にでも簡単にできる金継ぎ方法を教えていただきました。

 

まずは、合成樹脂で器の欠けた部分を修復するためのパテを作ります。

 

欠けた部分より少し大きめにカットして、“練り消し”の要領で練ります。色が均一になるまで練るとパテが硬化しやすく、これからの工程が楽になるのでしっかり練り上げましょう。

 

練り上げたパテを欠けた中心から外側に向かって延ばしながら、のせていきます。あとの工程で厚みを調整するので、この時点では少し厚みがあっても大丈夫です。

 

ふちの部分は指先でトントンと叩くようにし延ばしのせていきます。パテが完全に硬化するまでに自然乾燥だと10分ほどかかりますが、今回はドライヤーで乾かして完全に硬化させます。

 

パテをのせ終わった器がこちら。欠けた部分から少しはみ出すくらいにのせています。

 

続いて、のせたパテの厚みを均一にしていく作業です。カッターなどを使用して、周りとの厚みが同じになるように余分なパテを削ります。外側は、器の形に沿わせて刃を動かせば簡単に削り落とせます。

 

内側は少しコツが必要です。カッターの刃を立てながら、厚みがあるところをしっかり捉えてパテを削っていきましょう。ここで重要なのは、削り過ぎないこと。削り過ぎてしまうと、初めからやり直しになってしまうので、慎重に削っていきます。

 

パテをのせた部分と周りが均一の厚みになったら、2種類の紙やすりを使って、パテの表面を研磨していきます。

 

先に、粗めの紙やすりで表面のボコボコした部分を削り落とします。

 

パテののっていない部分にやすりが当たらないように気をつけながらサンディング。このやすりがけの工程をしっかりやっておかないと、あとからアラが出てきて初めからやり直しをすることになったり、仕上がりを大きく左右するので、慎重かつ、丁寧に行いましょう。

 

続いて、仕上げの磨きの工程です。ここでは、先程より目の細かい耐水性の紙やすりを使用します。水をつけながら表面を研磨することで、より滑らかでツルっとした風合いに仕上げることができます。

 

この作業は、より念入りに丁寧に行います。器自体に表情があるので、パテの凹凸を活かすようなイメージで、表面を滑らかにしていくのがポイント。この凹凸がのちに、良い陰影を生み、味のある表情を演出してくれます。

 

パテの表面を磨き上げて、ようやく金継ぎの下準備が完了。修復した淵の部分は、周りとの段差もなく、とても自然に仕上がりました。

 

ついに、漆を塗る作業に入ります。今回は、速乾性に優れたフグ印の新漆とゴールドの真鍮を使用。金よりも渋みのある色合いで、器のデザインを邪魔することなく上品な雰囲気に仕上げる狙いです。調合する割合は漆と真鍮を1:1。

 

筆で漆と真鍮をダマが無くなるまでよく混ぜ合わせます。このままだと少し漆が硬いので、塗りやすい硬さになるまで漆専用の洗い液を少しずつ加え、漆の硬さを調整します。イメージとしては水彩絵の具くらいの硬さです。

 

漆の準備ができたら、メインの筆入れです。基本的に漆は薄く塗ります。筆を立てながら少しずつ、ふちの部分から塗っていきます。

 

少しはみ出すくらいに塗っても大丈夫です。グレーのパテの部分が隠れるように丁寧に塗ります。ここで気をつけたいのは、漆を厚ぼったく塗らないこと。ベタっと分厚く塗ってしまうと表面が乾くだけで内部はいつまでも乾かないそうなので、できる限り極薄に塗ります。ふちを塗り終えたらふちから内側に向かって中の白い部分を埋めていくように塗ります。

 

万が一漆を塗る際に、はみ出てしまったり、失敗をしても、漆の硬さを調節する際に使用した漆専用の洗い液で拭き取って塗り直しができるので安心です。また、塗っている途中で調合した漆が乾燥して塗りづらくなった場合も、この洗い液を加えれば塗りやすい硬さに緩めることができます。

 

こちらが、塗り終えた1つ目の器。

 

乾燥するまでに10分ほどかかるので、乾燥を待っている間に、他の器も漆を塗って仕上げていきます。

 

時短のためにドライヤーを使ってさらに乾かします。

 

そして修復が完了した器がこちら。大胆に口元が欠けていた器も金継ぎを施すことで上品さがプラスされて、また違った表情が生まれました。金継ぎは、器を修復するだけではなく装飾としても使えるので、金継ぎが生み出す独特のニュアンスを活かして絵を描いたりしてアレンジする作家さんもいるそうです。

 

無機的な色や深みのある器だと相性が良く、小さい欠けでもゴールドが映えますね。渋みのある上品なゴールドなので普段使いの器がクラスアップしたように感じます。完全に漆が乾燥するには1日ほどかかるので、2日程度置いてから使用するのが安心です。

 

今回、金継ぎを教えてくださった店主の中村さん。芸大を卒業後、代官山のヒルサイドテラスで38年間続いた「陶房TERRA代官山」で講師を務めた後、閉店を機に同店の一部を引き継いでアクセスと環境の良い下北沢に『テラ小屋』をオープン。

 

「金継ぎは割れたり、欠けてしまった器も一手間加えてあげるだけで、別の価値を与えられるんです。物を長く大切に使うことを思い出させてくれる素晴らしい伝統文化です。器の状態にもよりますが、今回のようなチップした器なら2時間で2〜3個くらい修復できます。こちらで行う金継ぎは漆でかぶれるリスクもほとんどなく、誰でも簡単に金継ぎ体験ができるので、この機会にものづくりの楽しさを体感していただけると嬉しいです」

 

テラ小屋では、陶芸に必要な道具も貸し出してくれるので道具が揃っていない方も安心。壊れた器がなくても、手ぶらで気軽に参加できるワークショップを定期的に開催しています。

 

初めての金継ぎ体験でしたが、欠けて不格好だった器が見違えるほど美しく仕上がり大満足! テラ小屋さんのゆったりとした雰囲気が都会の喧騒を忘れさせてくれ、またお気に入りの器を使える喜びと楽しみを噛み締めながら帰路につきました。器が壊れてしまっても楽しみが増えたと思わせてくれる“金継ぎ”。大人の秘密基地のような空間にワクワクしながら、壊れた器にお化粧を施して、新たな命を吹き込んでみては?

 

SHOP DATA

テラ小屋

東京都台世田谷区代沢4-41-2

TEL:03-3411-5411

営業時間:10:00〜18:00

定休日:水曜、第1・3木曜 ※他臨時休業あり

 

◼︎体験コース

金継ぎ教室:¥3,240/2時間

 

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