昔から人と密接に関わってきた最も基本的な道具の1つであるナイフ。アウトドアシーンに1つあると、ちょっとした調理や作業などで活躍してくれるアイテムだとご存知の方も多いはず。
ただ、そのナイフも海外では普及しているのに、ここ日本ではどうしても刃物=危険なモノというイメージが強く、敬遠されがち。犯罪報道で頻繁に凶器は刃物と目にするなど、どうしても仕方がないことなのかもしれませんが........。
しかし、先に述べたようにナイフは用途に合う使い方をすれば本当に便利なアイテムなんです。
今回、そのナイフを危険で怖いモノではなく、身近で便利なモノだということを再認識してもらうべく動き出したあるブランドのキットを紹介します。
《It’s my knife》。
金物の街として知られる兵庫県は播州三木で120年以上の歴史を誇る老舗道工具メーカー神沢鉄工が展開する高級刃物ブランド『FEDECA』。“木と鉄の文化の継承”をコンセプトに掲げる同ブランドのサブブランドとして立ち上がった『fedeca mellow mode』より、このキットがリリースされました。今まで刃物になじみのなかったエンドユーザーに向けた、“削るは楽しい”、“暮らしにひと手間”をテーマとしたラインナップの処女作なる本アイテム。自分の握りに合わせてハンドル材を削り、その名の通り世界で1本だけの“マイ・ナイフ”に仕上げていくという、今までにありそうでなかったキットなんです。
道具を削って自分好みにカスタマイズする楽しみや、そのカスタマイズしたナイフを日頃の生活で使いこなす充実感。そしてモノ作りの基本となる“切ると削る”といった動作の体感。
この感覚を自分でも体験してみようということで、実際に作ってみました。
まずセット内容は削り小刀(1本)、ハンドル用木材(1組)、組ネジ(2組)、板ドライバー(1枚)、サンドペーパー粗目(#120、#240 各1枚)。
ハンドル用の木材はブナとホオの2種類展開。硬くて質感の良いブナは中級〜上級者向け。肌目は緻密で淡いピンクを帯びた乳白色で、ステインやオイルによる仕上がりも美しいです。ホオは加工性が良く、サクサク削れるので初心者の方にオススメ。材質は柔らかめで均質、くすんだ緑灰色。
it’s my knife ブナ/¥3,000+TAX
it’s my knife ホオ/¥3,200+TAX
筆者はブナのセットで挑戦。
早速、第1の工程である小刀本体でハンドルパーツの切り抜きからスタート。
枠は大きめに切り抜いて、後々削いでいったほうがキレイになるとの説明書情報に従って作業を進めました。
この時点で気づいたんですが、ただ削るだけという作業なのに楽しい。スーッと削げた瞬間なんて気持ち良くて仕方がないんです。
そしてメインの作業でもあるハンドル表面の形成。少しずつ削いでいき、自分の思い描く形に仕上げていきます。
1発目ということでデザインはベーシックに。本当は複雑なデザインにしてみようかと思ったけど、ビビってできなかったのはここだけの話。
手を加えたモノ(右)と未加工のモノ(左)を並べてみましたが、やはり雰囲気が違いますね。未加工の方だとなんだか作りモノ感がありますが、不格好ながら削る工程を加えたことで温もりが増した感じがします。
削ぎ終わったら、最後にヤスリをかけて磨き上げていきます。付属サンドペーパーの粗目からの中目の順番にかけます。
凹凸感は薄くなりますが、自分が削った後は残るので雰囲気はそのまま。この作業で触り心地も格段にアップします。
最後に付属の組ネジを留めれば完成です。所要時間は削りの時間にもよりますが、1時間ぐらい。
刃の部分はさすがの品質で、写真のようにしっかりと刺さります。
刃物部分は歴史あるメーカーならではの、職人が1つ1つ手で研き上げた本格派。和鋼の伝統を受け継いだ安来鋼の青紙を採用した、硬度と粘りがある高級鋼なので、切れ味は長い間持続します。もちろん切り口も申し分のなくキレイ。そんなナイフの使い道は様々ですが、筆者はレターナイフとして使おうかと思っています。
そして最後にお伝えしたいのが、このキットの醍醐味でもあるアレンジ。
ベースは木材なのでブライワックスやワトコオイルなどの木製専用塗料を使って深みをもたせたり、ペンキで色を塗ったり、はんだごてを使って焼いてみたり、方法は無限大なんです。
形で遊ぶのも楽しいかもしれませんが、このアレンジもまた違った楽しみがありますよね。筆者もホオのタイプを作ってみて何かしらアレンジしてみようかなと思っています。
さぁ、 “it’s my knife”はいかがでしたでしょうか。
もちろんこのキットでナイフを作り上げることもDIYですが、それを使って何かを作ることもさらにDIYとなります。そんなある意味一石二鳥とも言える本作をまず手に入れてみてはいかがでしょう。“削る”DIYにすっかりハマってしまった筆者はこのナイフを使って、木製のカラトリーか木製カップのククサを作ってみようかと目論んでいます。
その際はまた記事にてお届けしますのでお楽しみに。
INOFORMATION
fedeca mellow mode
神沢鉄工
FEDECA
WRITTEN BY
Japan
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