先日イベントの模様をお伝えした、クリエイターの祭典HandMade In Japan Fes 2016(以下HMJ2016)。第4回目の開催となる今回は、過去最大の来場者数である約54,000人が訪れるなど、大盛況のうちに幕を閉じました。
そんなハンドメイド×ミュージックというユニークなフェスの提案はどのような経緯で始まりを迎えたのか?
また、2010年にサービスを開始したCreema発足のきっかけや目標、その先に何を見据えているのか?
そんな気になる疑問をCreemaの代表取締役社長/クリエイティブディレクターである、丸林耕太郎さんへインタビューを行いました。
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”ハンドメイドのカルチャーを根付かせ、Made In Japanを世界へ発信する”
代表取締役社長/クリエイティブディレクターである、丸林耕太郎さん
—2010年に立ち上がったCreemaですが7年目の今、ここまでの大きな反響は予想できましたか?
「正直、予想できていなかったですね。そもそも、僕がこのサービスを開始するにあたって、市場分析だったりマーケット調査を一切していないんですよ。ただ、自分がやるからには、大きないい場所を絶対に作るんだとだけは考えていましたね」
—サービスを開始された当初はハンドメイドに関してどういった認識でしたか?
「僕個人としては、ものづくりを素晴らしいカルチャーとして実際に触れていたこともあり当然の文化だという認識はありましたが、メディアでハンドメイドという言葉を聞くことはありませんでした。世間的には、個人の趣味という認識が強かったのではないでしょうか?」
—ハンドメイドという分野が現在に至るまで、丸林さんはどういった変化を感じていますか?
「Creemaに限っての話ですが、プロを目指す作家さんが集まる場所なので、情熱を傾けて作りたいという作品を自由に作る、感性と技術が込められた作品が集まるというのは、根幹に変わらずにあります」
鹿のはく製を模したファブリック製の壁掛けオブジェ。1点ずつ手作業による縫製で生み出されている。
—昔も今も変わらず、質の高い作品が出品され続けているということですね?
「そうですね。ただ、以前はハンドメイドという世界には流通できる場所がなかったんです。そこでCreemaを立ち上げて、才能のある人が評価される場所を作りたいとという気持ちで取り組んだ結果、今では月間訪問者が1,300万人に増えました。たくさんの方にCreemaのウェブや店舗で、作家さんの作品を見ていただいて、評価していただく機会も増えることで、買い手からのフィードバックをもらう機会も増えましたね。作家さんもこういった作品を作れば、お客さんが喜ぶということが見えるようになったんです。それによって、作家さんの感覚が詰まったクリエイティブは生かしつつ、いい機能性や使用感を備えた作品がさらに増えてきていると実感します。見栄えのクオリティは変わらず高いですが、作品としての品質が総合的に上がっているイメージですね」
—なるほど。作り手と買い手がインタラクティブな環境を作った結果なんですね。Creemaを開始した、そもそもの理由はなんだったのでしょうか?
「僕自身、プロの音楽家として楽曲制作などを長くやっていたんです。その活動の中で、すごく才能があるのに音楽では食べていけない人がいたり、反対に実力に伴っていない活躍をしている人がいたりして。僕としては、純粋に評価されないフェアじゃない状況が気になっていたんです。また親しい友人が絵描きだったんですが、才能があるのに評価されないという同じ悩みを抱えていました。なので、頑張って努力している人が正当に評価される環境を作れるかを考えたのが理由ですね。正しく評価されることは、人が自分らしく生きるために重要なことだと思っています。そんな経緯から、Creemaの根底としては、作家さんが継続性のある経済活動ができる基盤となれるように取り組んでいます」
ハンモックのワークショップも開催されていたHMJ。手作業でオリジナルの1本を編み上げていく。
会場にはライブステージも設置されており、スチャダラパーや土岐麻子といったアーティストのライブが間近で楽しめた。また、DDTプロレスリングによる圧巻のパフォーマンスも披露された。
—HMJではハンドメイド×音楽といったユニークな取り組みが行われていますが、このプロジェクトにはどういった目的があったのでしょうか? また、Creemaとしては今後どういった広がりを見せていくのでしょうか?
「数年前まで日本には、ハンドメイドやカスタマー同士によるコマースの仕組み自体が定着していなかったこともありますが、何より”1点物の作品を買う”という価値観やカルチャー自体が、感度の高い一部の人々の間にしか存在しなかったことが最大の壁でした。そうなると自分たちでカルチャーを作っていくしかない。その中で、いい作品に直で触れられ、背景にある物語を作り手から直接聞くことができるリアル展開に取り組もうと考えたことが、HMJの開催につながりました。HMJを開催することによって、日本のものづくりを国内外に広げていきたいんです。それを踏まえた上で、Creemaとして大きな視点から答えると、日本の作り手へ世界へ広げて行きたいですね。僕は日本発のクリエイティブは世界で必ず評価されると思っているし、それを証明したい。そして、作家さんに新しい活躍機会を持っていただきたいという思いがあるんですよ。それを実現するために、7月20日にCreemaの中国語版を台湾、香港で開始したところなんです。日本国内でも、丁寧にハンドメイドのカルチャーの魅力を伝え続けていきながら、日本の素敵な作り手を世界に広めていきたいですね」
最後にお気に入りの作家さんに関して伺うと、「好きな方が多すぎて答えられないですね(笑)」と作家さんやその作品に対して深い愛情を伺わせた丸林さん。
INFORMATION
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HandMade In Japan Fes 2016公式サイトはこちら
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Japan
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