東京サバイバル物語 Vol.1 〜水道が止まって飲み水がない!問題〜

今、電気、ガス、水道などのライフラインがストップしてしまったら、あなたは生き残れますか?そんな状況を想像し、DIYでどこまでやれるのかを実際に試してみる、という実験的連載です。

公開日 2017.02.28

更新日 2022.01.07

東京サバイバル物語 Vol.1 〜水道が止まって飲み水がない!問題〜

こちらは、みなさまが生きている世界とは少し違う東京都。この街はひょんな理由から、電気、ガス、水道の供給がストップ。さらにガソリンやカセットガス、ライターまでも奪い合いが生じ、現在ではそんなエネルギー系アイテムは皆無になってしまったのです。
そんな街で生命をかけ、サバイバル生活を送るハメとなった男が二人。夜遊び&惰眠だけが生きがいだった、よろず屋のダメ店主・ヤマハと、子どものころからアウトドアに明け暮れていた、よろず屋スタッフのフルサワです。ダメ店主ヤマハの強引な泣き落としによって、フルサワは渋々共同生活に合意。そうしてはじまった二人のサバイバル生活や如何に!

左から、よろず屋のダメ店主・ヤマハとよろず屋スタッフのフルサワ。

 

サバイバル生活には、まずは水ですよ。

ヤマハ「フルサワくん。これからのサバイバル生活を生き抜くために、まずなにが必要なんだろう?」

フルサワ「そうですね。やはり、飲み水の確保でしょう」

ヤマハ「といってもここは渋谷のど真ん中。川や海も全然ないけど……」

フルサワ「なので池や水たまりの水をきれいにする装置、そう、濾過装置から作るんです!」

ヤマハ「いいね~。新鮮な美味い水を期待!待ってるから、シクヨロっす~」

フルサワ「お前もやるんだよ!ということで、まずはこちらを用意しましょう」

 

ゴミ箱から2本のペットボトルを用意します。この時、同じ形のものだと組み立てやすいです。

 

2本のペットボトルは加工の方法が異なります。1本目はカッターで底の部分を切り落としましょう。

 

もう1本はペットボトルの上部、飲み口側をカッターで切り落とします。

 

それぞれ不要な部分を切り落としたのがこちら。

 

フルサワ「この2本のペットボトルが濾過装置の骨格になります。口部分がついているのが装置の上部分、もう片方が下部分になります」

ヤマハ「他の素材は、何をどこから集めてくるんだ?」

フルサワ「そうですね、まずは……」

 

救急セットの中からガーゼを用意します。もしなければ、マスクなどでも代用が可能です。

 

続いて綿を用意します。クッションの中から綿を取り出しましょう。

 

フルサワ「残りの濾過材料は外に出て収集開始!」

 

まずは砂を採取します。

 

フルサワ「ここで大事なのは粒の大きさ。土ほど細かくなく、石ほど大きくないものがベストです。ていうか、ブランコで遊んでないで手伝ってくださいよ!」

 

ヤマハ「死ぬほど嫌だけど、頑張って小石を集めます。ところで肝心の水はどこで手に入れる予定?小川も泉も見当たらないけれど……」

フルサワ「だから、そこにある、それですよ」

 

ヤマハ「ええ~、マジただの水たまりじゃん! こんなもん飲めるか! ビールもってこい!」

フルサワ「うるせ~な~。しかし昨晩雨が降ったのはラッキーでしたね」

ヤマハ「ちっともラッキーではありません!」

 

フルサワ「では早速家に戻って濾過装置作り再開です。まずはガーゼをハサミでカットしましょう」

 

ガーゼをそのまま使っては目が荒く、濾過に適していません。少し大きめにカットし、四つ折りにして使いましょう。

 

折ったガーゼをペットボトルの口に当て、たるみがないようにします。

 

折ったガーゼをペットボトルの口にあて、たるみがないようにします。そして輪ゴムを使って飲み口にガーゼを固定。

 

いよいよ濾過装置の中身を作っていきます。材料は綿、砂、小石、活性炭の4種類。この活性炭は園芸用品として流通しているものです。今回は観葉植物の鉢植えから採取しました。

 

まず初めに綿を詰めます。これが濾過装置の最下層となる部分です。ペットボトルが細く詰めにくい場合は、菜箸やペンなどで押し込むと作業がしやすいです。

 

次に小石を入れます。予め目立つゴミは取り除いておきましょう。

 

小石投入時の横からの様子。

 

さらに小石の上から綿を投入。綿を敷き詰めることで、濾過材が混ざるのを防ぎます。

 

ヤマハ「ちょっと綿の量少なくない?きちっと濾過しないとマジオコだかんね!」

 

敷き詰めた綿の上に活性炭を入れます。

 

活性炭投入時の横から見た図です。

 

フルサワ「少し活性炭がこぼれてしまっている箇所がありますね」

ヤマハ「やっぱり綿はきつめに敷いたほうが良さそうやな」

 

再び綿を敷き、最後に砂を投入します。

 

最後に砂部分をならして上パーツの出来上がりです。

 

ヤマハ「おお~!横から見ると層になっているのがよく分かる!行ける感じバリバリだな」

フルサワ「ギリギリまで素材を入れてしまうと、水が溢れてしまうので、上部には余裕を取りました」

 

もう一つのペットボトルに乗せれば濾過装置の完成です。

 

ヤマハ「よし!やっと水が飲める!さっきの水たまりの水、持ってこんかい!」

 

フルサワ「はい、どすん。ある種大地の恵です」

ヤマハ「う、うむ。まるで薄めたカフェオレだな。ドトールが懐かしいです」

 

ヤマハ「しかも何か浮いているし……。く、くさい。土くさい」

フルサワ「これがどこまできれいになるのか。さっそく濾過装置の性能を試してみましょう!」

 

フルサワ「いざ投入です!」

 

ヤマハ「ペットボトルが透明だから砂の中を水が浸透していっているのがよく分かるな」

 

濾過された水は下のペットボトルが受け皿となり、内部に溜まります。

 

ヤマハ「お~、少しずつ水が溜まってる」

フルサワ「本当ですね。ただ、思った以上に濾過スピードが早いような」

 

ヤマハ「あっという間に濾過が終了しておる」

 

フルサワ「さっき浮いていたゴミもちゃんと取れてますね」

ヤマハ「まあその大きさだったらな」

 

濾過し終わった水がこちらです。

 

フルサワ「さあ、念願の飲み水です。どうぞどうぞ!」

ヤマハ「いやいやいや!まだうっすらカフェオレ色やないかい!確かにゴミは無さそうだけど、これは飲みたくはないなあ。もう1回濾過、シクヨロっす」

フルサワ「めんどくさ~。しょうがないですね……」

 

2回目の濾過開始。

 

フルサワ「さっきの装置にそのまま再投入してみましょう」

 

やはり一度に入れると溢れてしまうので、数回に分けて濾過します。

 

フルサワ「そろそろいい感じですね。心なしか濾過スピードが遅くなっている気がします」

 

2回目の濾過終了。

 

フルサワ「さて2回目の濾過が終わりましたよ」

ヤマハ「おお!さっきより薄くなってる!」

フルサワ「1回目の濾過で装置の目が詰まって、精度の高い濾過ができたのかもしれませんね。濾過のスピードが遅かったのも、じっくり濾過ができている証拠だったのかも」

 

フルサワ「上から覗いても、ペットボトルの底が見えるほど澄んでいますよ」

ヤマハ「この調子でもう1回濾過すれば、さらに綺麗な水になるんじゃないか?よし、3回目だ!」

フルサワ「まだやるんですか……まじうぜえ~」

 

3回目の濾過開始。手順は1回目、2回目と全く同様です。

 

3回目の濾過終了。

 

 

フルサワ「これなら飲めるんじゃないですか?っていうか飲め」

ヤマハ「確かにより綺麗になっているな。濾過する前の水と比べたらまさに雲泥の差だ」

フルサワ「それじゃあグビッと飲み干しちゃってください!」

 

ヤマハ「本当はまだ濾過してほしいけど、いいかげん喉も乾いてきたしな。いただきます!」

 

ヤマハ「ゴクゴク……」

フルサワ「さあ、お味はいかがですか?」

 

ヤマハ「ん~……?」

 

ヤマハ「マズっ!」

フルサワ「失敗ですか?」

ヤマハ「砂のジャリジャリ感とか異物感は無いんだけど、口の中で広がる土くささがスゴい!」

フルサワ「どれどれ……。あ、ほんとだ。飲めないわけではないですけど、くさみが割と強いですね」

ヤマハ「これどうにかならないの~?」

フルサワ「そうですね。活性炭には消臭効果もあるらしいですし、活性炭の割合を増やして改良してみます。とはいえ、異物やゴミは除去されていますし、濾過成功ですよ!」

ヤマハ「ちょい待て、悪いものを食べたら6時間~12時間くらいでお腹を下すと母が言ってた。その結果次第だな。でもこの先、こんな水で我慢しないといけないのか……。あ~ビールが飲みたい!」

 

結果、ヤマハ、フルサワとも、お腹を下しませんでしたが、必要以上は飲みませんでした。

フルサワ「これで、とりあえず飲み水はなんとか確保!」

 

つづく。

 

今回使用した材料

■ペットボトル

■ガーゼ

■輪ゴム

■クッションの綿

■砂

■小石

■泥水

■活性炭

 

今回使用した道具

■カッター

■ハサミ

 

ご注意

あくまで一方法、個人の体験談であり、飲用水としての安全を保証するものではありません。体調・体質・ベースとなる水質により適切にご判断ください。沸騰や蒸留等の方法を用いて滅菌をすることで、より安全性を高めることができます。

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