Reclaimed Works、古材の家具作りに欠かせぬ相棒【MY DEAR GEAR Vol.1】
クリエイターが愛用するギアに迫る新連載が始まりました。「これなくしてうちのプロダクトは作れない!」という、それぞれにとって親愛なる相棒たちを紹介します。
公開日 2017.02.28
更新日 2022.01.07
取材の場となったReclaied Worksのショールーム。完全予約制のこちらには、Reclaimed Woodを使用して作られたプロダクトがレイアウトされています。
新連載となる本企画のテーマはずばり“ギア”!様々なジャンルで活躍するクリエイターの方々に、本格的なプロダクト製作や趣味のDIYまで、ご自身のクリエーションの場で欠かせない“MY DEAR GEAR”をご紹介いただきます。1回目となる今回伺ったのは、アメリカは主に西海岸から輸入したReclaimed Wood(古材)を使った家具作りや内装提案を行う、プロダクトデザインユニット「Reclaimed Works」。ディレクターである岩西 剛(いわにし ごう)さんが紹介するギアとは一体?
ABOUT:Reclaimed Worksとは
Reclaied Worksの岩西剛さん。古材が持つ個性やその役割について、資料を交えながら丁寧に語ってくれました。
-ギア紹介の前にReclaimed Woodについて教えていただけますか?
「Reclaimed Woodというのは、簡単に言ってしまえば古材です。ただ、Reclaimed Woodは建物の構造に使われていた木材を指します。でも、今の日本の古材市場を見ていると、足場材やパレットなどリース品として使われていた木材も一緒くたに古材と呼ばれてしまっているんです。ですが、アメリカではそのあたりがしっかりとカテゴライズされています。リースで使用されていた材料はリサイクルウッドと区別されていて、Reclaimed Woodとは価値も値段も変わります。アメリカ西海岸の建物の多くは、現地に多く自生するダグラスファー(米松)と呼ばれる材種を多く使用しています。今のように重い木材を簡単には運べなかった時代は、できるだけ伐採した地域に近いところで使う。いわば地産地消で建物を建てていました。なので、スタイルとして西海岸の雰囲気を出したければダグラスファーを使うのが適しているんです。逆に言えば杉の足場板でアメリカ西海岸の雰囲気を出すのはちょっと難しかったりするんです。だから、僕たちは材料の仕入れを西海岸などにこだわって、現地で古材をセレクトするんです。それが僕たちが定義するReclaimed Woodですね」
ショールームにはReclaimed Woodを使用した家具が飾られています。確かに写真の家具が仮に杉やチークで作られていたとしたら、ガラリと雰囲気が異なりますね。
-見た目以外に、古材を選ぶ理由は何なのでしょうか?
「先ほども説明したように。古材は昔の建物を解体した材料ですよね。その古い建物に使われている木材は、植林が始まる前の時代のものなんです。そのため、植林された木材よりも目が詰まっていて、強度が高いという理由もありますね。日本でも同じように、昔からある神社や仏閣に使われている木材は新材よりも強度が高いっていうデータがあるんです。そういう新材にはない質の高さも選ぶ理由でしょうか」
カットやサンディングなどの処理をする前の古材たち。確かにギュッと目の詰まった年輪が見受けられる。
-ギアに限らず、もの選びのマイルールなどはありますか?
「カルチャーという点では1960年代のアメリカが好きなんですが、ものに焦点を当てると年代ではなく、使用されているフォントやイラストに目がいってしまいますね。アメリカらしいデザインで購入しやすい価格であれば、ヴィンテージの雑貨類をアメリカに行くたびに買って帰ってきています」
こちらは1920年代に使用されていた家畜の飼料や植物の種などを入れるための布製の袋。当時は使い捨てだったそう。アメリカらしいポップなフォントとイラストがプリントされています。
こちらも飼料や種などが入れられていた紙袋。
それではお待ちかね。岩西さん愛用のギアをご紹介します。
MY DEAR GEAR.01:ANTIQUE C-CLAMP
1920年代のアメリカで生産されていたアンティークのCクランプ。シンシナティーツールというオハイオ州にある五大湖のそばで生産を行っていたブランドです。フォージドアイアンと呼ばれる鍛造で製作されたCクランプは、現在の溶かした鉄を型に流し込んで作る鋳物でできたクランプと異なり、当時の不純物の少ない鉄板から切り出されて作られているため高い強度を誇ります。「現行のものに比べて特別使い勝手がいいとかではないんですが、作業中に落としてしまっても壊れる心配がないのが嬉しいですね」と、岩西さんも強度には全幅の信頼を寄せています。
MY DEAR GEAR.02:INCH&METER MEASURE
プレゼントされた1990年代のラフキンのスケール(左)と、アメリカに行くと少しずつ買い足しているという1940〜1950年代のスケール(右)。ラフキンのスケールはメートルとインチが併記されているという珍しいプロダクトで、岩西さんの仕事ではまさに欠かせないんだとか。「素材のほかに、僕らはサイズ感でアメリカらしさを表現しています。僕らは日本で育ってセンチで慣れ親しんできたので、物を見ただけでもサイズ感を測ることができるんです。そんな中、アメリカの建材はインチで作られているからセンチに換算すると微妙な数字になり、目に違和感と新鮮さを与えてくれる。そこが“アメリカらしさ”の秘密だったりするんです」と、岩西さん。プロダクトの雰囲気を左右するサイズ感を決めるのに欠かせないギアのようです。
いかがでしたでしょうか?アメリカ的な見た目に惹かれつつも、高い強度やサイズの併記など質の面でも信頼できるクオリティのあるギアを愛用する岩西さん。西海岸の雰囲気を放つReclaimed Worksのプロダクトは、これらのギアに支えられて生み出されていたのでした。
ギアを通して見えてくる、クリエイターたちのものづくりへの矜持。今後も様々なクリエイターへ取材を行ってまいります。
INFORMATION
公式HP : http://www.reclaimed-works.com/
ショールーム : 東西線神楽坂駅より徒歩5分。予約後詳しい住所をお知らせ致します。
受付時間 : 月〜金:11:00~21:00 土・日:10:00-18:00 ※土・日は5日前までに要予約。
※予約状況などによりご希望に添えない場合がございますのでご了承ください。
TEL : 03-5227-6055
MAIL : info@reclaimed-works.com
WRITTEN BY
Japan
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