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東北のものづくりを支える〜analog〜/CIRCLE of DIY Vol.02

前回からスタートした新連載『CIRCLE of DIY』。自らのDIYスタイルを発信する人や企業をフィーチャーする本企画の第2弾をお届けします。前回に引き続き、宮城県からお届けする内容は他に類を見ないレンタルスタジオ。1つの場所で色々な機会に触れられるだけに、きっと皆さんもものづくりしたい衝動にかられるはずです。

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仙台の中心部から少し離れた工業地区に構える『analog』。もともとは製本、紙工業を営む菊信紙工所の工場の一角を改装。そしてこのスペースをDIY印刷、加工に特化したレンタルスタジオとして今年2月21日オープンさせました。

 

 

プロ仕様の機械が用意されたシルクスクリーン、箔押し、加工の3つのレンタルスペース、材料購入や物撮り用ブースなど、手ぶらで来ても何かしら作ることができるよりどりみどりな空間となっています。なぜ仙台という土地でこのような場所を作ったのか、担当者である菊地さんにお話を伺ってきました。

 

「“せんだいスクール・オブ・デザイン”という東北大学・都市建築学専攻と仙台市による共同の特別教育プログラムというものがあったのですが、そこでは自分よりも10以上も齢の離れた若い学生から、グラフィックデザイナー、建築の専門家など幅広く交流をする機会ができたんです。そういった人たちとネットワークができてコミュニケーションをとるようになってきてから、考え方や商売のあり方などで色々と影響を受けるようになりました。

なので実のところ、そのプログラムに参加する前までは、菊信紙工所の業務内容に沿ってあくまで製本業者として、主には印刷屋さんへ向けた営業を中心としていて、斜陽化する印刷業界に対しこの先の将来に何ができるのか、印刷屋さんへ向けてどんなサービスが提供できるのか、という考え方に固執していました。でも、SSD(せんだい・スクール・オブ・デザイン)の受講を機に、改めて街での自分の役割を考えさせられたんです。そもそも何かしら尖がったことをやろうにもこの街に必要とされてなかったら、対価としてお金がもらえない。地域に根付きつつ専門性を極めて商売したいなら柔軟にやるしかないのかなと。

本質を軟化することのないように意識しつつも伝え方には常に工夫をこらすような。製本加工の仕事でいえば、ここでは土地の広さを活かした量産規格型の設備中心なわけだし、逆をいえば土地に限りのある場所では専門性が極まっていくわけで。だからここで必要なモノはここに必要な形として答えがあるし、東京としても同じように必要な形があるって考え方に変わっていきました。街に馴染むような存在や役割として、製本に固執せずとも得意とする領域の中で商売とかサービスのあり方を考えていこうかなと思ったのが、analogを始めたきっかけです」。

 

 

製本としての可能性を広めるための新しい動き。そして、土地に馴染むことを意識するという考え方は東京にはないスタイルだと感じました。続いて、この場所を利用する際の流れとは。

 

「サービスの概要としては、プロ仕様の機械なので怪我も可能生がないとは言い切れないんです。なので、最初に機械と道具の基本的な使い方や管理の仕方などを初回講習(5000円)で身につけてもらってからの会員利用(基本料金2h3600円※土日祝4000円)となっています。時間内であれば塗料や箔などの備品は使い放題です。箔押しで言えば60種類ほどの箔を好きに試すことができます。シルクスクリーンで言えば、感光乳剤と落版剤、4種類のスクリーン、インク、インクに入れる添加剤なんかも全部自由に使うことができます。正直今までにあまり存在しなかったサービスだと思うんですよ。なのでサービスについての伝え方についても模索している感じです。僕としては常日頃から見ている機械や道具なんで使い方は当然ながらわかってるんですが、お客さんを招いて説明している時に、そもそものところで伝わってないなとよく考えさせられます。そもそも、どういう機械、道具で何よりどんなモノができるのかが伝わりきれてないことに気づきましたね。ここはanalogの課題。webサイトのみでしか、発信できていないので写真や動画とかその他の手段でもっとわかりやすくしないといけないと思っています。そのために作れるモノの事例を多く出していけるとイメージしやすいかなと。そういったところの工夫をこなしていきたいですね」。

 

 

オープンして実際にお客さんと接したことでわかったことも多いそう。またサービス以外にも、この施設のあり方にも面白いこだわりがありました。

 

「グラフィックデザイナーさんやクリエイターさんが生み出したアイデアを実現できる場所を身近に置く必要があるなと思ったんです。そのアイデアを実現するために東京や大阪などの大都市に行くなり発注しなきゃというのはもったいないかなと。せっかくならここで生まれたアイデアだからこそ、ここで形にできた方が互いの製造面での経験値にもつながるし、街自体もおもしろくなるのかなと思ったんです。人の行き来が多くなって、人の出会いが多くなると色々な情報の共有ができたり、新しいアイデアが生まれたりなど自分自身にとっても刺激が貰える場所になるかなと。あとは実験なんですよ。この工房の改造に着手する時にアートディレクションを担当されている方と、建築の設計士さんにどういう風にしたいですかと聞かれて、実験の場なのでめちゃくちゃにしてもらって構わないと言ったんです。というのは例えば、商売としてうまくいかせるためには先にあった事例を取り込んでそれっぽくやればマーケティング的にうまくいきやすいというのがあるじゃないですか。例えば、アメリカの都市の何かのスタイルを落とし込んだっていうと、そういったもの好きな人が反応しやすいかなっていうような。でも、そういうやり方はここではなしにしたかったんです。まずは概念にあるカッコ悪いとかやりすぎだとか派手だとか地味だとか気にしなくていいから、自由にやってくださいと伝えました。そうして工事期間が半年かかって今の空間になりました。その前例を意識しない実験というところでイメージ共有がいかないことなどの面から多少の問題が起こったこともあったんですけど、このスタンスは地方だからこそに余計に変えたくないんですよね。地方にいながら実験で事例を作って、ちゃんとしたお金を稼げる場所となったらそれがビジュアル的にどうであろうがある意味、人の意識を変えてかっこいいとなるんじゃないかと思うんです。そういうところを見てみたいと思って。あと、コーヒーとドーナツに関しては誰もが訪れるきっかけとして、そして息抜きもできる場所になったらいいなと思ったんです。カフェインと糖分で刺激にもなりそうですし。なので、OVALCOFFEE STANDさんとTHANKS GOD Doughnutsさんへ相談に行きました。ここでもこの実験というスタイルに賛同していただけたんで今一緒にやってもらっています」。

 

 

実験。まさにDIY=Do it yourselfの精神に繋がる素敵なコンセプト。そんな施設はまだスタートライン切ったばかりですが、今後の展望も聞いてみました。

 

「試みとしてやってみたいことはコアな人たちに向けての勉強会。収益どうこうじゃなくて、学びたいとかやってみたいという意識の強い人たちが場所を獲得したことで、やれることの幅が広がるので、一緒にモノを作って考えていきたい。それとはまったく反対になるんですが、もっともっとライトユーザーとも関わっていきたいんです。近所に住む一般の方など、もともとターゲットにいなかった人が何気なく気になって入ってくるのも自然なことだし、受け入れられたらと思ってます。それが自然に馴染むことだと思うので。どの層に向けてというよりは、自然に集まってくる人たちの中で、ここのスタジオ内で作れるモノから、この街にあった形の発信が出来ていくのも実験として楽しみな部分であり、そうなってほしいなと思いますね。あと利用者さんが作ったモノを撮影できる環境もあるので、いつでも個人でデータ管理や発信ができるようになっています。作ったモノは自己満足で終わらずにどんどん形にして発信するほうがいいと思うんです。自分が作ったモノに自信がもてず表に出さないモノってたくさんあると思うんですよ。そういうモノはどんどん表に出して、更に改良を加えていくほうがいいのかなと。そういう発信に慣れていくって大事だと思うんです。成功体験みたいに出すきっかけとしてこの場所をぜひ利用してほしいですね」。

 

 

本格的な機材設備ながら利用者と共に成長していくという今までにあまりなかった形のレンタルスタジオ。この施設だからこそできる情報発信の場所として、今後も注目したいところです。実際に伺ってみて、本当に何かしら作ってみたくなったり、ここだったらこういうモノができそうだなと想像したり、色々とワクワクできる場所でした。気になった方は一度コーヒーを飲みに行くついででもいいので、行ってみて損はないと思いますよ。ぜひあなたも実験する仲間の一員となってみてはいかがでしょうか。

 

SHOP INFORMATION

analog

住所:宮城県仙台市若林区六丁の目西町2-26

電話番号:090-1397-1849

営業時間: 10:00〜19:00(延長時22:00まで)

定休日:火曜、水曜

URL:http://www.analogpress.net

 

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